イタリアGPでは予選でガスリーがQ3に進出した。昨年もホンダはイタリアGPでストフェル・バンドーンがQ3に進出しているが、これは昨年のイタリアGPの予選が激しい雨に見舞われて、2時間半以上にもわたって中断した後にウエットコンディションで行われていたことが大きく関係していた。ドライコンディションで行われた2015年と16年のイタリアGPの予選では、フェルナンド・アロンソの13位が最高で、いずれもQ2どまり。ホンダにとってイタリアGPは鬼門だった。
それが今年のイタリアGPではドライコンディションだったにも関わらず、ガスリーがQ3に進出。チームメイトのハートレーはQ1落ちしたが、その差は0.046秒と接近した戦いを行なっていた。
新スペックを投入する場合のひとつの目安が、約30馬力の性能向上である。10馬力で約0.2秒の向上すると言われているので、ホンダは0.6秒程度のハンディを背負っていたこととなる。それでもこの高速2連戦で互角の戦いを演じることができたのは、エネルギーマネージメントを最適化し、持てる力を最大限発揮したからだろう。
例えば、イタリアGPが行われたモンツァでは、パワーユニットのパワーも大切だが、いかに他車のトウ(スリップストリーム)を上手に使用するかが重要となる。トウを使用するかどうかでラップタイムがコンマ5秒も変わるからだ。
そして、このトウにつくためには、コーナーの立ち上がりでしっかりと電気エネルギーを使って、前を走るマシンとの差を一定に保たなければならない。モンツァでは、ホンダはこのエネルギーマネージメントを予選でしっかりと行っていた。
レースでのエネルギーマネージメントは、今年のアゼルバイジャンGPでうまくいかなかったという苦い経験があった。しかし、イタリアGPではセーフティカー明けの再スタートで、ガスリーがルノーPUを搭載するフェルナンド・アロンソに並びかけたのである。残念ながら、アロンソのアグレッシブなブロックによって、ガスリーはオーバーテイクできなかったが、レースでのエネルギーマネージメントに関しても、改善していた。
新しいスペックを見られなかったのは残念だが、ホンダが現行のパワーユニットの勘所を押さえた戦いを演じていたことを確認できた高速2連戦だった。
(Masahiro Owari)