ホンダF1田辺TDレース後会見:アルファタウリのW入賞を称賛するも「レッドブルとしては欲求不満の溜まる2戦」
2021年8月2日
2021年F1第11戦ハンガリーGPは、レース直前のフォーメーションラップで大雨が降り出し、スタート直後の1コーナーでレッドブル・ホンダの2台が巻き込まれる多重事故が発生。セルジオ・ペレスはそのままリタイア。マックス・フェルスタッペンは車体に大きなダメージを受けた状態で10位完走が精一杯だった。
フェルスタッペンのパワーユニットは予選後に新たな異常が見つかり、3基目に交換したばかりだった。さらにリタイアしたペレス車のパワーユニットにも深刻なダメージが見つかり、ホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターは、「データ上でも異常が出ており、かなり厳しい」と、継続使用は難しそうな認識を示した。
「いい形で前半戦を終えて、気持ちよく夏休みを過ごして後半戦に臨みたい」と皆で言い合っていたと田辺テクニカルディレクターは言う。しかしシーズン前半最終2戦のレースで4ポイントしか取れず、両選手権でメルセデスに首位を奪われ、さらに2基のパワーユニットも失うことになるかもしれないという最悪の展開となってしまった。
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──レッドブル・ホンダにとっては、2戦続けて厳しい結果となってしまいました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):スタート直後の1コーナーで発生した事故に3、4番手のレッドブル・ホンダの2台が巻き込まれ、ともに大きなダメージを負ってしまいました。(セルジオ・)ペレスはそのままリタイア、(マックス・)フェルスタッペンは何とか自力で戻り、赤旗中断中にできるだけの修復をしました。ペースは上がりませんでしたが何とか10位入賞し、少ないながらもポイントを獲得しました。
──アルファタウリ・ホンダはダブル入賞でした。
田辺TD:2台ともに事故の混乱をうまく回避し、レースをきっちり走りました。なかでも角田(裕毅)選手は長いスティントを走り抜いて、最後はヒヤッとする場面もありましたが、6、7位でチェッカーを受けました。コンストラクターズ選手権では順位を下げてしまいましたが、シーズン後半も厳しい戦いが続くことが予想されるなか、今日のダブル入賞は素晴らしい結果でした。
(ピエール・)ガスリーは最後に最速タイムも出しました。(それまで最速タイム保持者だった)ルイス・ハミルトン(メルセデス)から1ポイントを奪ったことにもなるわけで、レッドブルにとっても非常に価値あるチームプレイでした。
──これで前半戦を終了し、明日から夏休みに入ります。
田辺TD:レース前には、いい形で前半最終戦を終えて、気持ちよく夏休みを過ごしリフレッシュして後半戦に臨みたいとみんなで言っていたのですが、レッドブルとしては欲求不満の溜まる2戦となってしまいました。一方のアルファタウリは2台がきっちり得点を持ち帰ったことは、よかったと思っています。
我々ホンダとしても、気分よく終了というわけにはいきませんでしたが、通常より少し長い2週間の休みが取れます。前半の戦いをしっかり振り返るのはもちろんですが、身体も心もしっかり休めて後半戦に向かいたいと思っています。
■予選後、フェルスタッペンのPUにクラックを発見
──レース前にフェルスタッペン車のパワーユニット交換が発表されました。予選終了後に異常が見つかったとのことですが、経緯を教えてください。
田辺TD:予選後にクルマが戻ってきて、カウルを開けてカバーを外してチェックした際に(異常を)発見しました。予選前にも、もちろん同じ箇所は確認していますが、その際には異常はありませんでした。しかし帰ってきたときにはクラック(ひび)が入っていてオイルが滲み出していました。データ上も、コース上のパフォーマンスもまったく影響は出ていません。しかし、この状態のままレースまで使い続けるのは危険だろうと判断し、交換を決めました。
──イギリスGPでのクラッシュで車体は全損したなかで、パワーユニットは無傷と見られていたのが、結果的にそうではなかったということですね。
田辺TD:はい。FIAによって封印されたものはバラすことができないなか、できるだけの確認をしました。特に衝撃のかかるギヤボックスや車体との締結点は念入りに調べました。とはいえ外観からの確認、そしてファイバースコープで覗ける範囲での確認に限られ、そこでは大丈夫でした。しかし、最も衝撃のかかったところに、やはり異常が出たということです。
──このクラックの入ったパワーユニットは今後どうするのでしょうか?
田辺TD:まだわかっていません。HRDさくらに送り再度チェックをしてダメージの進展具合を見ることになります。外から修復可能なのかを検討し、この先使用可能かどうかも含めて決めたいと思います。ただ、かなり厳しいかなという感触はあります。
──2回のフリー走行後のチェックでも発見されなかった異常が予選後に出たということは、やはり予選走行時のかなり負荷の高い使い方に耐えられずにダメージが酷くなったということですか? また、こういったトラブルの出方はかなり珍しいのでしょうか?
田辺TD:それまで壊れなかったものが予選で壊れた例というのはこれまでもありましたが、だからといって予選だから壊れたということではありません。
今回も、初日に走行し異常がなかったので予選以降の継続使用を決めたわけですが、以前も言ったように全部をバラして確認したわけではないので、中に何が潜んでいるかはわかりません。ボディブローのように(ダメージが)効いてくる恐れは常にありました。しかし、こんな早くにそれが出るとは思わなかった、というのが正直なところです。
■リタイアしたペレスのPUは「データ上にも異常が出ている」
──レース中に異常が出なかったことは結果的によかったのでしょうか?
田辺TD:今回のレース結果はさておき、レース中に異常が出なかったのはラッキーと捉えるしかないと思っています。もし(ダメージのあるパワーユニットを)使い続けてその部位の症状がひどくなった場合、何らかの機能障害が起きる可能性はありました。たとえばオイル漏れが酷くなってパフォーマンスに影響したり、最悪引火するなどですね。ですので、我々としてはラッキーだったと思うしかないです。
ただ結果も含めて考えると、3基目の新品パワーユニットを入れて、そのパワーユニットが再び事故に見舞われました。いろいろな可能性を考えてその決断に至ったわけですが、『う〜ん』というしかないです。ですが、それは(レース前には)わからないので事前に見つかってよかったです。
──ペレス車のパワーユニットも今回の事故でダメージを受けた可能性があるとのことですが。
田辺TD:こちらも同じように日本に送り確認をしますが、今回はデータ上にも異常が出ています。なので、結構厳しいもらい事故だったかなという認識です。
(取材・まとめ 柴田久仁夫)
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1位 | マックス・フェルスタッペン | 393 |
2位 | ランド・ノリス | 331 |
3位 | シャルル・ルクレール | 307 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 262 |
5位 | カルロス・サインツ | 244 |
6位 | ジョージ・ラッセル | 192 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 190 |
8位 | セルジオ・ペレス | 151 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 62 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 31 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 593 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 557 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 544 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 382 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | BWTアルピーヌF1チーム | 49 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 46 |
8位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 44 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
第23戦 | カタールGP | 12/1 |