パワーユニット規定の導入から3シーズン目を迎える2016年。メルセデスAMGを頂点とするこれまでの勢力図がどう移り変わるのか、今年も新シーズンへの興味は尽きないが、その主役となるドライバーに関してはハースに移籍するロマン・グロージャンを除いてほとんど大きな動きがない。そこで少し気は早いが、複数の有力ドライバーが契約満了を迎える2016年末の彼らの契約状況を整理してみる。
まず、契約の行方が最も気になるのはニコ・ロズベルグの座るメルセデスAMGのシートだ。すでにチームメイトのルイス・ハミルトンは昨年の新契約で年俸49億円(推定)の3年契約を勝ち取っているが、今季が2年契約の最終年となるロズベルグはシーズン末でチームとの契約が一旦切れることになる。
2010年にメルセデスに加入したロズベルグは今年でチーム在籍7年目。2016年もタイトル争いの筆頭に挙げられるメルセデスだが、仮に今季もハミルトンに敗れるようなことになれば、ドイツ人のロズベルグとしてもその立場は厳しくなる。メルセデスには、昨年のDTMチャンピオンで現在マノー・マルシャのシート争いを繰り広げるパスカル・ウェーレインというチーム期待の若手ドイツ人が控えている。もちろん、今季のチーム成績も大きな判断材料になるが、仮に2015年のようなシーズンを再現すれば、チャンピオンのチームメイトに若手を据える可能性は十分考えられる。
チームを率いるトト・ウォルフも、過去2シーズンにわたって何度も繰り広げられてきたチームメイトバトルの悪化を懸念しており、ドライバーラインアップの再考を示唆するコメントも聞かれる。ロズベルグにとって2016年は今後のF1キャリアを左右するシーズンとなるだろう。
次に、昨年のシート喪失の危機を乗り越えたフェラーリのキミ・ライコネンも1年後には再びその契約が失効する。当時はウイリアムズのバルテリ・ボッタスの契約をフェラーリが買い取るのではないかと報じられたが、チームは熟考の末、もう一年ライコネンにチャンスを与えることを決めた。
ただし、今年37歳を迎えるライコネンの後任選びは引き続きマラネロにとっての検討材料であることは間違いなく、ライコネンのシートを巡る駆け引きは今後も注目を集めるだろう。
ダニール・クビアトが契約最終年を迎えるレッドブルは、チームメイトのダニエル・リカルドも2014年の加入前にアドバイザーのヘルムート・マルコが3年契約と語っていたことから、ふたつのシートが空く可能性がある。若手育成プログラムが充実するレッドブルには、昨年トロロッソでルーキーながら高い評価を受けたマックス・フェルスタッペンとカルロス・サインツJr.が控えており、いずれ彼らもドライバー候補になることが予想されるが、18歳のフェルスタッペンには早くもフェラーリが興味を示していると言われている。こちらも2017年以降を巡る動きは大きな注目の的となるだろう。
ウイリアムズは少なくともフェリペ・マッサが今年もチーム残留をかけてシーズンを戦わなければならないが、昨年ライコネンの後任候補に浮上したボッタスの契約期間ははっきりとしない。5年契約の最終年となる今季はチームのオプションが行使される形となったが、16年末にフリーな立場でいたいボッタスに対して、昨年ウイリアムズは17年末までの新契約を迫ったとも言われている。
最後に、マクラーレン・ホンダはフェルナンド・アロンソが2017年末までの契約を結んでいるが、日本GPで引退騒動があったジェンソン・バトンは今年が2年契約の最終年となる。マクラーレンには昨年のGP2チャンピオンで、今季日本のスーパーフォミュラ参戦が噂されるストフェル・バンドーンが控えていることから、日本のファンとしてもふたりの動向は目が離せない。