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【F1第12戦無線レビュー】「セーフティカーに近づくだけで何も見えない」先頭のフェルスタッペンも視界不良を主張
2021年9月2日
2021年シーズンは後半戦を迎えた。その初戦となったベルギーGPの決勝レースは大雨の影響により、何度もスタートが遅れ、レースは赤旗中断に。約3時間にわたる長い中断を経て、再びセーフティカー先導で走り出したものの、わずか3周で終了となった。悪天候での走行中、何人ものドライバーが視界不良を訴えた。そんなベルギーGPを無線とともに振り返る。
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今年のベルギーGPは、3日間毎日不純な天候に見舞われた。初日こそドライ路面で周回できたが、2日目は完全ウエット。そして決勝日は、もはやスパウェザーとすら呼べない悪天候に見舞われた。
そんな大雨にもかかわらず、ピットレーンスタートとなったキミ・ライコネン(アルファロメオ)を除く19台がウエットタイヤでレコノサンスラップに出て行った。しかし走り始めてすぐ、最悪のコンディションであることをドライバーたちが訴えた。
ルイス・ハミルトン:フロントのグリップが全然ないよ
ピーター・ボニントン:リヤタイヤは?
ハミルトン:リヤも全然。でも特にフロントがひどい。左がロックしまくりだ
ヒュー・バード:コンディションはどう?
セルジオ・ペレス:視界がひどい。全然前が見えないよ
バード:ピットに戻ってこい
そのやり取りの直後、ペレスはレ・コンブからの立ち上がりでコントロールを失い、アウト側のバリアに突っ込んで行った。
バード:レース終了だ。ポジション1。エンジンを切れ
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の担当エンジニア、ジャンピエロ・ランビアーゼが状況を伝える。
ランビアーゼ:チェコがターン6で壁にヒットした。レースには出られそうにない
ライコネンとペレスを除く18台が、グリッドに着いた。しかし雨はいっこうに止む気配がない。
ハミルトン:この雨は、もっと降るんだよね?
ボノ:ああ。もっと強くなりそうだ
5分刻みのスタートディレイが繰り返され、いつレースがスタートできるのか誰にも見えない状況だ。この週末はダニエル・リカルド(マクラーレン)にとってはF1デビュー200戦目という記念すべきグランプリだったが、そんな時でもユーモアを忘れない。担当エンジニアのトム・スタラードとのやり取りには、ニヤリとするしかない。
リカルド:知ってるかどうかわからないけど、今日が僕の200戦目なんだ
スタラード:ああ、そんな噂は、聞いたことがあるよ
午後3時25分、セーフティカー先導のフォーメーションラップが25分遅れで始まった。しかしレースができる状況でないことは、誰の目にも明らかだった。
ハミルトン:前が全然見えないよ
ウエット路面では絶対的に有利なはずのポールシッターのフェルスタッペンでさえ、視界が確保できない。
フェルスタッペン:セーフティカーに近づくだけで、何も見えなくなる
前日の予選でクラッシュを喫したとはいえ、Q1、Q2で圧巻のトップタイムを叩き出したランド・ノリス(マクラーレン)にとっても、この状況は限度を超えていた。
ノリス:前を走ってるはずの車が、全然見えない。おまけに完全にアクアプレーニング(状態)だし
前を走るF1マシンがフェルスタッペン1台だけのはずのジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)も、「最悪だ」と訴える。
ラッセル:オールージュから先が、ターン5まで全然見えないんだ。すぐ前のはずのフェルスタッペンのテールランプさえ見えないよ
リカルド:最悪なのはストレートで何も見えないことだ
リカルドのいう通り、もしストレートを全開走行中にスローダウンしている先行車が目の前に現れたら、その時はすでに手遅れだ。それでもポールシッターのフェルスタッペンは、「今ならレースできる」と叫んだ。しかしその主張が現実的でないのは明らかで、約15分後には赤旗中断となった。
気温12度、冷たい雨の降りしきるなか、少なからぬ観客がサーキットから去って行った。それでも大部分の人々は延々3時間近く待ち、現地時間午後6時17分にレースが再びSC先導で始まった。しかし依然として、まともに走れる状況ではない。
ラッセル:時速180kmを超えると、水しぶきで何も見えなくなる
フェルスタッペン:コンディションは確実に3時半より悪くなってるね
3時間前にレースを敢行すべきだったという主張だった。そしてリカルドは、口調自体は冷静なものながら、「もうたくさんだ」と繰り返した。
リカルド:とても無理だよ。走行ラインが全然残らない。いったん見えても、すぐに消えてしまう。それぐらいの雨なんだ。確実にアクアプレーニングレベルだよ
リカルドのコメントがとどめになったかのように、SC先導のレースは3周目に赤旗となり、今年のベルギーGPは終了した。
(取材・まとめ 柴田久仁夫)
関連ニュース
1位 | マックス・フェルスタッペン | 362 |
2位 | ランド・ノリス | 315 |
3位 | シャルル・ルクレール | 291 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 251 |
5位 | カルロス・サインツ | 240 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 189 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 177 |
8位 | セルジオ・ペレス | 150 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 62 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 31 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 566 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 537 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 512 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 366 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 46 |
7位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 36 |
8位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 14 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
第23戦 | カタールGP | 12/1 |