インディアナポリスのコースでのミシュランタイヤの耐久性が不安視されていたF1アメリカGPは結局、ミシュラン勢がスタートせずにブリヂストンユーザー6台のみのレースとなり、敵のいないフェラーリは1-2でゴール。ミハエル・シューマッハーはようやく今季初優勝を挙げることとなった。
金曜日、2回目のフリー走行でトヨタのラルフ・シューマッハーがクラッシュ、他のトヨタのマシンにもタイヤのトラブルがみられていたことから、ミシュランタイヤのインディアナポリスでの耐久性が問題視されていた。このため、ミシュランは予選後に別仕様のタイヤへの交換を認めてもらえるようFIAに働きかけるなど、対応策を模索していた。バンクでのコーナリングとなるターン13にシケインを設置するなどの案も出されたが、結局、FIAが出した結論はタイヤ交換は認めない上で「(タイヤが危険な状態となる前の)10周置きにピットインするか、ターン13はゆっくり走行しなさい」というものだった。
このため、予定された時間通りに全車グリッドに並んでフォーメーションラップがスタートしたものの、ミシュランを装着するマシンはコースを1周しピットに向かう。ルノー、BAR、トヨタを始めとするミシュラン勢のマシンはそのままガレージにしまわれて、フェラーリ、ジョーダン、ミナルディの6台でレッドシグナルからレースがスタートした。
フェラーリに乗るミハエル・シューマッハーが、今シーズン苦しめられているライバルたちがいないレースとなるとスタートした瞬間に結果が見えたもの。フェラーリにトラブルさえ発生しなければ、シューマッハーかルーベンス・バリチェロのどちらかが勝つことは明らか。スタート直後はガレージ内で待機していたミシュランユーザーのドライバーもしばらくするとクルマから降り、片付けを始めるチームも現れ、このあとのレースも6台で行われることがはっきりとする。
インディアナポリスの観客は14台リタイアのレースにブーイングや一斉に足を踏みならすなど、抗議の意を表す。中にはコース内に缶を投げ込む者すらいるありさまだ。コース上は6台で淡々とレースを進めるが、インフィールドでバリチェロがペットボトルを踏むといったアクシデントも起きている。しかし、フェラーリは余裕のレースで、レースのおよそ2/3で他の4台を周回遅れにする状態。途中、ピットアウトしたシューマッハーが1コーナーで接近しすぎ、バリチェロがコース外のグリーンゾーンに逃げるというシーンがあったぐらいで、73周のレースは終了。優勝したシューマッハーと2位バリチェロの差は1.5秒、1周遅れてジョーダンのティアゴ・モンテイロが表彰台。モンテイロから31秒遅れて同じくジョーダンのナレイン・カーティケヤン、ミナルディの2台はトップから2周遅れという結果になった。
過去の最小スタート台数のレースは1982年のサンマリノGPの14台だったが、今回はこれを半分以下とする不名誉な記録を更新してしまうレースとなった。このレースでジョーダンとミナルディが得点を“拾った”ため、今季いまだ無得点のチームはBARホンダだけとなってしまった。