ホンダがパワーユニットを供給しているレッドブル、トロロッソの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のレッドブル、トロロッソのコース内外の活躍を批評します。今回は2019年シーズン総括(2)を甘口の視点で。
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2019年はホンダにとって、さまざまな記録を更新するメモリアルイヤーとなった。
まず開幕戦オーストラリアGPでのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の3位は、ホンダにとって、2008年イギリスGP(ルーベンス・バリチェロ)以来、11年ぶりの表彰台となった。
第6戦モナコGPではフェルスタッペンが予選で3番手を獲得。ホンダの予選でトップ3に入ったのは、2006年中国GP(ルーベンス・バリチェロ)以来のことだった。また、このモナコGPの予選ではフェルスタッペン以外の3人のホンダPU搭載ドライバーもトップ10に入った。予選でホンダ勢が4台ともトップ10に入ったのは、1988年日本GPのアイルトン・セナ(PP)、アラン・プロスト(2位)、ネルソン・ピケ(5位)、中嶋悟(6位)以来となった。
さらに翌日の決勝レースではホンダ勢4台がそろって入賞を果たした。これは1987年のイギリスGPのナルジェル・マンセル(優勝/ウイリアムズ)、ネルソン・ピケ(2位/ウイリアムズ)、アイルトン・セナ(3位/ロータス)、中嶋悟(4位/ロータス)の、あのホンダワン・ツー・スリー・フォー以来のこと。
さらにこの時のモナコGPではフェルスタッペンが4位で、当時チームメイトだったピエール・ガスリーが5位に続き、さらにダニール・クビアトとアレクサンダー・アルボンのトロロッソ勢も7位と8位に入り、トップ8に4台をホンダ勢が占めた。これは1991年のイギリスGPでのゲルハルト・ベルガー(2位/マクラーレン)、アイルトン・セナ(4位/マクラーレン)、ステファノ・モデナ(7位/ティレル)、中嶋悟(8位/ティレル)以来だった。
ただし、当時のF1は入賞が6位までだったため、4台そろっての入賞は1987年のイギリスGP以来、32シーズンぶりとなっただけでなく、ホンダのF1活動にとって、史上2度目の快挙でもあった。
第9戦オーストリアGPでの復帰後初優勝は、2006年ハンガリーGP(ジェンソン・バトン)以来、13年ぶりの歓喜の瞬間となった。
「ホンダのすべての従業員、そしてこのプロジェクトにこれまで関わってくれたサポートメーカーの方たちに感謝するとともに、この勝利は彼らにとっても大きな喜びとなったと思います」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)というホンダは、2戦後の第11戦ドイツGPでフェルスタッペンが再び優勝を遂げる。さらにトロロッソのクビアトも3位に入った。ホンダのダブル表彰台は、1992年ポルトガルGP(ベルガー2位、セナ3位/ともにマクラーレン)以来、27年ぶりで、ワン・スリー・フィニッシュは1992年ハンガリーGP(セナ優勝、ベルガー3位)以来、27年ぶりの記録だった。
「優勝という正解を見つけたことで、考え方や姿勢がポジティブになり、より一層前向きに開発していくことができたと思います。さらに優勝したことで感じた喜びによって、もっと勝ちたいというアドレナリンが出て、精神的にもポジティブなスパイラルに入りました」(田辺TD)というホンダの活躍は続いた。