今年のシーズン最終戦のアブダビGPは、メルセデスAMGのチームメート同士によるタイトル決定戦の舞台となった。しかし、戦っているのはメルセデスAMGだけではない。マクラーレン・ホンダもまたコンストラクターズ選手権6位の座を賭けてトロロッソと戦っている。
現在のコンストラクターズポイントは6位のマクラーレンが75点で、7位のトロロッソが63点。トロロッソが今シーズン獲得した1グランプリでの最多得点は9点なので、12点差は安全圏ではあるが、レースは何が起きるかわからない。最終戦でもマクラーレン・ホンダのスタッフは緊張感を持って、トロロッソとの直接対決に臨んでいた。
ところが、そのトロロッソが金曜日にタイヤに関するトラブルを抱えてしまい、予定していたプログラムをこなせないまま初日を終えた。セットアップが決まらないまま臨んだ予選ではダニール・クビアトが17位、カルロス・サインツJr.は21位に終わり、2台そろってQ1落ち。トロロッソが2台そろってQ1で敗退するのは、今シーズン初めてのこと。いかに金曜日の走行が重要であるかを証明する結果となった。
一方、マクラーレン・ホンダも金曜日にジェンソン・バトンのパワーユニットに問題を抱えたが、早めにパワーユニットをレース用に交換することで、傷口を最小限にとどめた。こうした現場での判断力も、チームの総合力のひとつで、2年目のマクラーレン・ホンダが成長した部分でもある。
金曜日の走行データを元にセットアップしたマクラーレン・ホンダのマシンは、土曜日の予選でも快調だった。「Q1の最初のアタックから、安心して見ていられました」(長谷川祐介総責任者)と言うように、Q1はバトンが10番手、フェルナンド・アロンソも13番手で突破。Q2でもアロンソが最後にウイリアムズのボッタスを逆転してトップ10入り。バトンは「ヘアピンでわずかにロスしたものの、フェルナンドとはコンマ2秒差で気持ちが入ったアタック」(長谷川総責任者)で、12位となった。
今シーズン最後の予選を終えた長谷川総責任者は、それでも満足はしていない。
「2台そろってQ3に入ることが難しいということを実感しました」という長谷川総責任者。今シーズン、マクラーレン・ホンダが2台そろってQ3に進出したのは、アロンソが7位、バトンが8位に入ったハンガリーGPの1回だけ。予選パフォーマンスの課題は、来年へ持ち越されることとなった。
ただし、レースは予選ポジションではなく、チェッカーフラッグを受けたときのポジションを争うもの。アロンソだけでなく、バトンもポイントを獲得して、気持ち良く1年間の休暇に入ってほしい。
(Text : Masahiro Owari)