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【短期連載】マクラーレン・ホンダの栄光-MP4/6

2014年12月17日

ドライバーラインナップも発表され、いよいよマクラーレン・ホンダ復活へカウントダウン。F1史に燦然と輝くマクラーレン・ホンダの名車を、写真とともに振り返る短期連載。その第4回目は、セナとホンダにとって最後のタイトル獲得マシンとなったMP4/6。

 1991年。日本でのF1ブームが最も加熱した頃である。この年のマクラーレンが送り出したのがMP4/6であり、多くの日本人がイメージする“F1マシン像”は、このMP4/6なのではないだろうか? 前年のアイルトン・セナのタイトル獲得により、カーナンバーはふたたび1と2になった。

 MP4/6は、前年までのマクラーレンのマシンと比べると、ノーズやサイドポンツーンが丸みを帯びた形状となり、MP4/4から踏襲してきたスタイルを一新した形となった。フロントのサスペンションも、トレンドのプッシュロッド式を採用。当時のマシントレンドに近づいた格好だ。しかし、時代はより先に行っていた。ティレルやウイリアムズ、レイトンハウスらは、空力性能を徹底的に考慮したマシンを登場させ、フェラーリとウイリアムズはセミ・オートマチックトランスミッションなどの電子デバイスを投入した。対するマクラーレンは、従来の“アナログ”マシン。空力性能でも最先端にはほど遠く、トランスミッションも従来のマニュアルシフト。やはりこの年もホンダエンジンに頼り切りの部分が大きかった。

Katsuyoshi Kobayashi

 そのホンダは、マクラーレン用にV12エンジンRA121Eを新たに開発、投入した。ホンダがV12を登場させるのは、第1期最終年の1968年に投入したRA301E以来、実に23年ぶりのこと。RA121Eを開発するにあたっては、1989年4月から研究を開始し、1990年6月に実走テストを行い、1991年シーズン開幕前のオフシーズンテストでもMP4/5Cに搭載されて走行距離を稼ぎ、開発は順調に進んでいた。

 しかし、新車MP4/6が登場したのは開幕直前のエストリル(ポルトガル)テスト。初めてドライブしたセナは、早速不満を訴える。その矛先はホンダだった。「パワーが足りない」と。その上、テストでの走行距離も不足しており、MP4/6の下馬評は低いものだった。

Katsuyoshi Kobayashi

 1991年の開幕戦は、前年に続きアメリカ・フェニックス市街地。ほとんどテストで走らぬまま、MP4/6は海を渡った。しかしこのMP4/6が実に速かったのだ。予選1回目こそフェラーリ新加入のジャン・アレジにトップタイムを譲ったものの、予選2回目でセナが圧倒的なタイムでポールポジションを獲得。決勝も先頭でフィニッシュする。しかも、その後モナコGPまで開幕4連勝。下馬評を覆し、速さと、強さと、高い信頼性を誇示してみせた。

しかし、連勝中でもセナは満足しなかった。中速域のトルクとコーナリング時の安定性不足を訴えたのである。セナは、あるチームの躍進を予感していたため、こう指摘していたのだと言われる。セナが最大の脅威と見なしていたのは、当時ランキング2位につけていたフェラーリではなく、ギヤボックスのトラブルを連発して僅か12点の獲得のみに終わっていた、ウイリアムズ・ルノーである。

 ウイリアムズは1991年シーズンに、FW14と呼ばれる新車を準備していた。このFW14のデザイナーは、エイドリアン・ニューウェイ。近年ではレッドブルのマシンを手がけ、F1界を席巻している人物である。

 ニューウェイは空力性能を重視し、それまでエンジンパワーが主体だったF1に新たな風を吹かせた。その最初の傑作とも言えるのが、FW14である。しかも、フェラーリに続いてセミ・オートマチックトランスミッションを採用。F1マシンのドライブを、格段に簡便にした。他にも多くの電子デバイスの開発に熱心に取り組んだのが、この頃のウイリアムズである。ただし、当初は各システムにトラブルが相次ぎ、91年開幕当初もリタイアすることが多かった。

マクラーレン+セナ開幕4連勝の後、第5戦カナダGPでは、そのウイリアムズの速さが発揮されることになる。決勝こそナイジェル・マンセルがリタイアに終わったため、優勝はベネトンのネルソン・ピケに譲るが、予選ではリカルド・パトレーゼがポールポジション、2番手にマンセルと、ウイリアムズが独占し、セナは3番手。セナの危惧が現実のものとなりはじめる。

 ウイリアムズの本格化はここからで、続くメキシコ、フランス、イギリス、ドイツと4連勝。ポールポジションも、全てウイリアムズに奪われてしまう。シーズン当初と比べると、まさに形勢逆転である。

Katsuyoshi Kobayashi


 強さを増したウイリアムズに対抗すべく、マクラーレンは第10戦ハンガリーGPに軽量化したMP4/6を持ち込み、シェルに特殊燃料を開発させた。ホンダも、GP直前に逝去した創設者、本田宗一郎の弔い合戦とばかりに新スペックのRA121Eを持ち込む。この結果、実に6戦ぶりの勝利。続くベルギーも勝って、一矢を報いた。

 とはいえ、ウイリアムズの勢いは収まらない。イタリア、ポルトガル、スペインと今度は3連勝を記録し、再びマクラーレンとの差を詰める。ただ、ウイリアムズは速いもののまだ信頼性に難があり、優勝かリタイアかという極端なレースを続けていた。一方、マクラーレンの特にセナは、勝てないレースでもなんとか2位を拾うなど、着実にポイントを積み重ねる。

迎えた鈴鹿での日本GP。セナとマンセルの差は16点。セナはマンセルよりも前でゴールすれば、自動的にチャンピオンが決まるという状況だった。

 この鈴鹿にマクラーレンは、空力性能を向上させたMP4/6を投入。この効果は絶大で、マクラーレンは見事1-2フィニッシュ。セナはチェッカー直前でベルガーに先頭を譲って2位でゴールし、ドライバーズタイトル2連覇を達成した。最終戦オーストラリアGPでは、豪雨の中1-3フィニッシュを果たしたマクラーレンが、コンストラクターズタイトルの防衛にも成功する。

LAT

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 MP4/6でダブルタイトルを獲得したマクラーレン・ホンダ。とはいえこの年も、セナのドライビングとホンダエンジンの性能がなければ、勝つことはできなかったはずだ。しかし、時代は空力性能と電子デバイスへの時代へと、急激に加速していくこととなる。マクラーレンも91年シーズン中にセミ・オートマチックトランスミッションをテストしたが実戦投入はせず、アクティブサスペンションの開発を進めていたものの実用化にはほど遠いもの。時代の波に乗り遅れはじめていた。そして翌92年、ウイリアムズの圧倒的な強さの前に、ついに屈することとなる。


Katsuyoshi Kobayashi




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