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【F1新車分析】トロロッソSTR12:チャンピオンチームと同様、突起なしのノーズを採用
2017年3月18日
技術ウォッチャーの世良耕太氏が、2017年のF1新車、トロロッソSTR12の気になるポイントを解説。メルセデスと同様に突起なしのノーズが特徴的だが、他にもう一つ共通点が見られる。
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1つだけならまだしも、2つ似ているところが興味深い。トロロッソとメルセデスだ。1つめの共通点はノーズで、2つめはフロントサスペンションアームのアップライト側取り付け点だ。まずはノーズから。
16年型のトロロッソSTR11は多数派の突起型ノーズを採用していたが、17年型のSTR12はメルセデスと同じ突起レスとしてきた(写真:1)。ウイングを支持するステーのスパンを極端に狭くしてきたあたりまでメルセデスとそっくりである(写真:2)。フロントウイングの車両中心側チップ(先端)とウイングステーとの距離を稼ぎたかったのだろう。ボルテックスジェネレーターとして機能するチップ(写真:3)が先割れになっている点に注目したい。
後方に向かって流れる空気にとって、ステーやノーズは邪魔だからこういう構造になったのだろうが、ステーがフロントウイングを支持する部分は「これで大丈夫なのか」と心配になるほど華奢だ。ステーのスパンを狭くすればするほど、100kg単位で発生する荷重を支えるのはつらくなる。走行中にぐらついては本来の性能を発揮できないので、高い剛性を確保する必要がある。
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)だけで必要な剛性を確保するとはできないので、金属のインサートがウイング〜ステー〜ノーズにかけて入っている。そのぶん重くなるが、それを見込んだ設計が行われているはずだ。
共通点その2もまるっきりメルセデスと同じで、アップライトを延長し、高い位置でアッパーアームを支持している(写真:4)。フロントウイングのステーとは状況が逆で、上下アームのスパンが広くなり、荷重を受け止めやすくなる。17年はダウンフォースの増加とタイヤグリップの向上により、コーナリングスピードが格段に増す。そうなるとサスペンションへの入力も大きくなるが、その大きな力を受け止めやすくなる設計だ。
という効果は副次的で、空気の通り道を広げるため、ロワーアームの位置を高くしたかったという思いが先だろう。
サイドポンツーンのアンダーカットは大きく、全体にスリムだ。ただ、姉妹チームのレッドブルとは異なり、有機的な形状をしている。Red Bullのロゴがあるあたりは熱交換器のシルエットがそのまま浮き出たような格好だ(写真:5)。
そのサイドポンツーンのリーディングエッジ(前縁)には、ブラインドカーテンを構成する羽根に似た板が1枚追加されている(写真:6)。飛行機に用いられる前縁スラットと同じで、スラットと前縁の間から下側の圧力の高い空気を上側(この場合サイドポンツーン上面)に導く意図だろうか。
(Kota Sera)
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