ホンダF1の総責任者、新井康久氏がアメリカGPのテキサス州オースティンを訪れ、金曜日に小林可夢偉がコメントした、ホンダへのラブコールを受けて所見を述べた。
「インターネットで記事は読みました。我々にとって、自分たちのことをそう思ってくれているのはありがたいことですし、ホンダに対して期待を持って頂いているというのは、我々にとって非常に名誉なことだと思っています。まだF1に出ていないのに、ドライバーからそう言って頂けるんですからね」
ホンダに入りたいという可夢偉の希望を好意的に受け止めた新井氏。今の可夢偉の最大のアドバンテージである、現在のV6エンジンの経験を高く評価するものの、過熱するファンの期待に釘を差すことも忘れなかった。
「日本人で(今のV6を)経験しているのは彼だけですよね。ですが、我々としては日本人である必要はない。たしかにドライバーから聞きたいことは山ほどあって、今、何が起きているのか、何をしなくちゃいけないのか。そこが今、我々にはない。『1年間、好きなだけ開発ができるから有利だろう』と言われるんですが、そこ(ドライバーからのフィードバック)が一番欠けている。本当に辛いです。勝手に想像力だけ膨らんじゃって、それがもし間違ってしまうと、とんでもないことになってしまう。それは結局、来年2月まで分からない」
ドライバーの契約面からでなく、契約後であっても、そしてたとえ契約がなかったとしても、道義上、ライバルメーカーに所属しているドライバーから情報を得ることは、このレースの世界では御法度とされている。可夢偉の経験を高く評価する新井氏だが、ホンダ側からすぐに具体的な話を進められる、というわけにはいかない。
「彼は今、ケータハムに乗っていてルノーのエンジンを載せているわけで、そのことを今、彼が話すとも思えないし我々が聞くのも失礼な話。契約後になったら、もう来年のシーズンが始まる。そうしたら我々はマクラーレンから十分に話を聞ける。我々の次(来年)のドライバーに聞けば済む。(目の前の)そこのウイリアムズの(フェリペ)マッサ選手にメルセデスのことを聞くのと同じで、シーズン中に他のチームのドライバーに聞くことはあり得ません」
では今後、可夢偉と交渉のテーブルに着く可能性はあるのか?