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【レースの焦点】オーバーテイクで切り開いた命運

2014年7月29日

RedBull

 もしも、これが優勝争いだったら――毎レース繰り広げられる名勝負に、そんな溜め息も聞こえてきた今シーズン。ハンガロリンクではファンの夢が叶った。

 首位フェルナンド・アロンソの0.8秒後方にルイス・ハミルトン、その0.6秒後方にダニエル・リカルドが迫ったのは、70周レースの61周目。3台の間隔が1秒以内になったのは64周目。直後の2コーナーでハミルトンのアウトに並んだリカルドは、若干ブレーキをロックさせたためラインが膨らみ、一度のトライでメルセデスを仕留めることはできなかった。それでも、2周後には再度、同じ場所で挑戦――今度はアウト側でグリップを維持しつつ、ハミルトンに対してフェアであれる分だけ先行したのを確認すると即、少し左にラインを採りながら3コーナーへのアプローチを有利にした。

 オーバーテイクがほとんど不可能と言われるコースでも、オーバーテイクを創造するリカルドの才能は素晴らしい。レッドブルの長所を活かして抜けるポイントを必ず見出し、勝負に持ち込み、見事なコントロール能力で自らの道を切り開いていく。ひとつのブレーキ、ひとつのコーナーだけでなく、複数のコーナーを使ってオーバーテイクを築き上げる技には、知性と攻撃性がバランス良く表れる。

 レッドブルに有利なはずのハンガロリンク、予選を4位で終えたときには、リカルドもけっして楽観的ではなかった。インターミディエイトのスタートでふたつポジションを落としたことによって、レースはさらに難しくなった。幸運は、8周目のセーフティカーのタイミング。トップ4台がピット入り口を通過した後であったため、ドライタイヤに交換した後は首位に立った――それでも、リカルドが“幸運”を享受したのはこの1度きりで、3ストップ作戦を優勝につなげるベースは彼自身が築いた。長い第3スティントはソフトを履いて31周。アロンソとハミルトンが2度目の――2ストッパーである彼らにとっては最後の――ピットインを終えた後、首位を取り戻したリカルドは2位アロンソと同じペースを維持し、スティント終盤には間隔を詰められながらも54周目までステイアウトした。


 第3スティントがソフトなら、最終スティントもソフト。もっと早く最後のタイヤに交換しても寿命的に問題はないところ、54周目までタイヤ交換を待ったのは、最終スティントを短くするためというより、アロンソやハミルトンのタイヤが周回数を重ねるのを待つため――自分がフレッシュタイヤに交換した際に、タイヤ年齢の差を最大限に広げるためだった。

ハンガロリンクでは、それくらい条件を違えないとオーバーテイクは叶わない。それくらい条件を整えても、勝負できるのは数ラップ――コーナーの技でハミルトンをかわした後、DRSを活かしてストレートでアロンソに先行するまで、リカルドは1周も待たなかった。ハンガロリンクのようなコースでフェルナンド・アロンソの“罠”にはまるとタイヤの履歴が違っても脱出できないことを、リカルドは熟知していた。

 ホッケンハイムで接戦を繰り広げたアロンソとリカルドは、互いに最大限の敬意を抱ける好敵手。5位争いを繰り広げたドイツGPとはパターンが逆で、今回はアロンソが摩耗したタイヤで守る立場になった。レースが残り10周ほどになったところで、アロンソも3度目のストップを考えたと言う。それでも「タイヤ交換をしたら4位は守れた。それは、僕らにとって本当に貴重なポイントをもたらす4位だった。ステイアウトしたら、精一杯守って4位かもしれない――結果は同じかもしれないけれど、ディフェンスすることによって表彰台を争えるチャンスがあった。僕らはステイアウトすることを選んでいた」
「ホッケンハイムでは、僕がフレッシュタイヤを履いてアドバンテージを持っていた。それでも、ダニエルを抜くのは簡単なことじゃなかった。今日の僕は、彼と戦うツールを手にしていなかったけれど、ベストは尽くした――今シーズンの彼には、本当におめでとうって言いたい」

 ハミルトンとリカルド、アロンソとリカルドの戦いが爽快なのは、サイド・バイ・サイドの接戦の末に高度なオーバーテイクが実現するから。誰ひとりミスをおかさず、最高の技と技でフェアに競い合って、本物のオーバーテイクが成立するからだ。




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