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FIA、周冠宇のアクシデントの調査を開始。安全上の役割を果たせなかったロールフープを深刻視、F1技術規則変更を検討か
2022年7月7日
F1の安全委員会は、安全性のさらなる向上のため、イギリスGPスタート直後に起きた周冠宇(アルファロメオ)のクラッシュについて、調査を始めている。他車にヒットされた周のマシンは、逆さまになった状態でスピンしながら、ターマックからターン1外のグラベルトラップまで100メートル以上を滑り、タイヤバリアを乗り越え、セーフティネットに底面から当たって、バリアとネットの隙間に落下した。周には幸いにも大きな怪我はなく、レース中に検査を終了し、元気な姿を見せた。だが、周のアクシデントからは、今後改善すべき課題が見えてきた。F1とFIAは、調査の後に、F1テクニカルレギュレーションへの変更を行う可能性がある。
この事故における調査対象として、さまざまな項目が挙げられている。逆さまに滑っているなかで、FIAが義務づけている検査に合格したロールフープバーがマシンから脱落していたこと、グラベルトラップがマシンを全く減速させなかったこと、グラベルトラップとタイヤウォールの間に小さいながらターマックのスペースがあり、それによってアルファロメオがバリアを飛び越えてしまったこと、タイヤバリアの後ろのガードレールとセーフティネットの間に隙間があったことなどだ。
今後膨大なデータに基づいた調査が行われることになるが、最優先されるのは、マシンが逆さまで着地した場合などにドライバーを守るはずのロールフープが、その役割を果たさなかったのはなぜなのか、原因を突き止めることだ。FIAが義務づけた、3方向への荷重テストに合格した安全構造にもかかわらず、アルファロメオC42がひっくり返り、ターマック上を滑り出してすぐに、ロールフープが崩壊した。幸い、ヘイローのおかげで周の身体は守られた。
現時点で注目されていることのひとつは、全チーム中、アルファロメオのみが採用している、ブレード型ともいわれるシングルスパイクのロールフープストラクチャーだ。このシステムは、2010年にメルセデスが導入、他のいくつかのチームが追随したが、その後、消滅、しかし今年、アルファロメオが採用した。
調査結果によっては、FIAはテクニカルレギュレーションにおいて、ブレード型のロールフープを禁じるかもしれない。また、一歩踏み込んで、より丸みを帯びたタイプを標準デザインに定める可能性がある。また、ロールフープの検査の際の荷重を増やすことは、最も簡単な解決法になるだろう。
FIAとしては、反射的に安易な行動を取ることは避けたいと考えているが、チームはあと3カ月以内に2023年マシンのモノコック製造をスタートするため、規則変更にあまり時間をかけすぎるわけにはいかない。
FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、全チームおよびロス・ブラウン、パット・シモンズ、パトリック・ヘッドをはじめとするエキスパートが参加する特別委員会を設置してこの問題への解決法を探るとともに、他の人々をも招集し、今回起きた恐ろしいクラッシュに関する別の問題への調査も行う意向だ。
調査の予備的結論は、ハンガリーGPが行われる7月末に発表される見込みだ。そして2023年テクニカル・レギュレーションへの勧告と変更は、秋に行われる次回のFIA世界モータースポーツ評議会会合で提示されることになるだろう。
(Grandprix.com)
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