☆☆☆☆ セバスチャン・ベッテル
フェラーリのドライバーになる=伝説の1ページに加わること。赤に染まったベッテル、FP1からプッシュ。見ていて“トロロッソ新鋭時代"がだぶった。移籍初戦10年アロンソは1位、07年ライコネンも1位、メルセデス勢に続くこの3位はそれに充分匹敵。SF15−T躍進の原動力はニューPU。パワー&トルク向上とドライバビリティ改善だ。ベッテルはルノーとの違いを感じ、ライコネンは昨年PUからの進化を知り、復活の第一歩を踏み出した。
☆☆☆☆ ジェンソン・バトン
この冬、バトンもアロンソもチャンピオンシップ争いを諦め、「無の心境」で臨まざるをえなくなった。テスト最長走行12周のみ、予選最下位も覚悟していた彼。ペレスとのバトルは、どこが遅いか、まあまあか、ダメなのか“実戦テスト・プラス"の意味。2周遅れ11位完走ラストラップで自己ベスト。ホンダはこれを糧にしなければ。「こんなレースをさせてすまない!」。宗一郎さんならば土下座しただろう。
☆☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン
初日FP1では完全にロズベルグに先を越されていた。コーナー減速姿勢が乱れ、W06のトルク・オーバーステアやPUのMGU−K設定に悩む様子が見てとれた。王者危うし、だったが土曜から走りが一変(!)、リヤの滑りをきれいなドリフトでコントロール、アクセルワークもスムーズに。開幕PPウインへの分岐点は金曜夜、コース外(セッティング研究)で速さを見出したハミルトン。これは昨年との明らかな変化だ。
☆☆☆☆☆ フェリペ・ナスル
隠れた「開幕戦のスター」だ。一度だけラインミスしてリカルドの“攻撃"にあうシーンがあったが(非力なレッドブル・ルノーとはいえ彼は意表を突いてくる)、冷静に対処した5位ナスル。58周をカバー、荒れた開幕戦を大過なく走りきった。ザウバー・チーム内に起きた「契約裁判騒動」のあおりで、FP1を走れなかったハンデを克服するメンタルの強さも。昨年ウイリアムズで5回FP1走行、マッサに先行してみせたブラジルの新鋭は決してペイドライバーではない実力を証明。