ブラジルGP直前に、自宅のあるモナコで交通事故があったと明らかにしたルイス・ハミルトン。木曜のチーム会見では質問が制限されてしまったため詳細は明らかにされなかったが、その後ハミルトンが事故を起こしたのは11月9日の深夜で、事故当時に運転していたのは約2億8000万円の高級車パガーニ・ゾンダ、停車中の他車に接触するという事故だったことが判明した。
しかし、ハミルトンに近い英国のジャーナリストたちは、今回の事故には不思議な点がいくつが残っているという。
最初の疑問は、なぜハミルトンはメキシコGP後に1週間もメキシコに滞在していたのか。チームは「スポンサーのイベントがいくつかあったために、ルイスはメキシコに残った」と説明している。ハミルトンも「メキシコGPのあと1週間は、あまり休めなかった」と語り、「少し疲れていた。毎日休みなく仕事しながら同時にトレーニングもしていたから、十分に睡眠をとることができなかった。ちょっと大騒ぎしすぎたかもしれない」とも言っている。
グランプリとグランプリの間にチームがスポンサーのイベントを計画し、ドライバーが出席することは珍しくない。ふたつめの疑問はイベントに出席しただけで、なぜそんなに疲れたのかということだ。
ある関係者は言う。
「メキシコGPが終わってからの1週間、スポンサーイベントのほとんどが、実はパーティだった。そこでルイスは、かなり飲んだらしい」
ハミルトンは疲れがたまった状態でイギリスへ向かい、8日にはロンドンのホテルで母カーメン・ロックハートさんの誕生日パーティがあった。ここでハミルトンは「かなり飲んだし、実際に飲み過ぎたと思う」という。
ようやく9日にモナコの自宅へ戻ったハミルトン。しかし翌10日にはブラジルへ向かう予定となっており、ブラジルではスポンサーのイベントが待っていた。イベントもパーティもない、この月曜日が唯一心身ともにゆっくりと休める日だったのに、ハミルトンは9日の深夜、正確には10日の午前3時半に事故を起こしているのだ。なぜ、そんな時間に外出していたのか。それが疑問だと英国メディアも首を傾げる。その件についてハミルトンは語ろうとしない。
現在ハミルトンは個人マネージャーと個人広報を持たない、ただひとりのF1ドライバーだ。今後も同じスタイルで続けるのならば、ドライバーの体調を考慮したスケジュール管理がチーム側に求められるとともに、ハミルトンにはプライベートな生活を含めて注視してくれる存在が必要となるかもしれない。
(尾張正博)