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【F1第5戦無線レビュー】アロンソ、僚友の順位アップをスクリーンで確認「ランスは何番手?ターン1の動きはよかった」

2023年5月16日

 2023年F1第5戦マイアミGPは、市街地コースを得意とするセルジオ・ペレスがミディアムタイヤのグレイニングに苦しみ、連勝とはならならなかった。一方9番手スタートのマックス・フェルスタッペンがハードタイヤをうまく持たせて今季3勝目を飾った。マイアミGPを無線とともに振り返る


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 レッドシグナルが消え、全車がきれいにスタートを切ったかに見えた。しかし実際には、あちこちで接触事故が起きていた。


(1周目)
ルイス・ハミルトン:誰かがぶつかった!
ピーター・ボニントン:今のところ、大丈夫だ。ダメージはない


 その背後ではニック・デ・フリース(アルファタウリ)がランド・ノリス(マクラーレン)に追突した。


ウィル・ジョゼフ(→ノリス):車体は問題ないよ
ピエール・アムラン(→デ・フリース):大丈夫だ

2023年F1第5戦マイアミGP スタート直後、ランド・ノリス(マクラーレン)に追突するニック・デ・フリース(アルファタウリ)
2023年F1第5戦マイアミGP スタート直後、ランド・ノリス(マクラーレン)に追突するニック・デ・フリース(アルファタウリ)


(6周目)
ハミルトン:まっすぐ走らないんだけど


 事故のダメージがあるのか、あるいは風の影響か。ハミルトンが挙動が乱されていると訴えた。


(7周目)
フェルナンド・アロンソ:プランAでいいけど、マイナス12の感じかな


 通常なら「マイナス12」は、12周少ないスティントという意味だ。しかしこの時点でフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は首位セルジオ・ペレス(レッドブル)の2秒以内で、順調に周回を重ねていた。タイヤが持たなそうな兆候はなかった。実際、第1スティントは誰よりも長い24周目まで引っ張っている。もしかすると第2スティントのハードタイヤを、12周少なくしようということだったのかもしれない。


 8周目、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がターン17の進入でジョージ・ラッセル(メルセデス)を抜いて行った。


(9周目)
マーカス・ダドリー:ガスリーを抜いて、フェルスタッペンに付いて行くんだ
ジョージ・ラッセル:言うだけなら簡単さ!


 それでもラッセルは、10周目にガスリーをかわして5番手に順位を戻した。


(10周目)
ダドリー:ほら、簡単じゃないか
ラッセル:君たちエンジニアの言うことを、もっと聞くようにするよ

ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2023年F1第5戦マイアミGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)


 しかしマシンは完璧ではないようだ。


ラッセル:ブレーキングで振動がひどい


(11周目)
ラッセル:僕の直感だと、プランAだな


 プランAはミディアムタイヤ→ハードタイヤのオーソドックスな1ストップ作戦だろう。メルセデスはラッセルの意見に同意し、この戦略を遂行することになる。


 アロンソを抜いて2番手に上がったフェルスタッペンが、首位ペレスの3秒後方に迫る。ミディアムスタートのペレスは、タイヤのたれを訴え始めた。


(17周目)
ペレス:右フロントが落ち出した


 21周目、ペレスに「ボックス!」の指示が出て、フェルスタッペンがトップに立った。

セルジオ・ペレス(レッドブル)
2023年F1第5戦マイアミGP セルジオ・ペレス(レッドブル)


(24周目)
ランス・ストロール:どうなってるんだ。レース状況を教えろよ。僕らのペースとか。僕はどうしたらいい?
ブラッドリー・ジョイス:ハード組のなかでは、ペースはいい。もっとプッシュしていいぞ


 なかなか入賞圏内に入れないストロールが苛立ち、それを担当エンジニアがなだめようとしている。


 首位に立ったフェルスタッペンは、ハードタイヤの持ちが気になっている。


(25周目)
フェルスタッペン:ミディアムのリミテーションはどう? フロントウイングを何とかした方がいい?
ジャンピエロ・ランビアーゼ:それはこっちで考えるから、ドライビングに集中しろ


(30周目)
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):もうちょっとタイヤに寄りかかっていいぞ。僕らはアロンソを見てる


「タイヤに寄りかかる(lean)」というのは、「タイヤに頼って走れ」という表現。ハードタイヤの状態がいいので、ペースを上げて後続とのギャップを広げる。そしてピットインの際には、何とか2番手アロンソの前に出たいということだ。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2023年F1第5戦マイアミGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)


(32周目)
ボニントン:ルイス、1秒1後ろにジョージが来てる。お互いに、レースはしてない。戦ってるのはオコンだ
ハミルトン:すぐに譲るよ。スロットルは戻さないけどね
ボニントン:ジョージはターン7だ。チームのために譲ろう
ラッセル:本当にありがとう。感謝しかないよ


 ハミルトンに譲ってもらって6番手に上がったラッセルは、エステバン・オコン(アルピーヌ)、カルロス・サインツ(フェラーリ)を次々に抜いて、最終的に4位入賞を果たした。


 レース終盤、アロンソの3位表彰台はほぼ確定だ。


(50周目)
アロンソ:ランスは何番手なんだ? ターン1の動きはすごくよかったな


 49周目にストロールがアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)を抜いたところを、コース脇の巨大モニターで見たのだろう。前後の間隔が比較的開いていたとはいえ、レーシングスピードで周回中にモニターでチームメイトの戦いを確認するのも凄いが、さらにそれを無線で誉める。オーナーのローレンス・ストロールはアロンソの心遣いに、さぞ喜んだことだろう。


 9番グリッドスタートのフェルスタッペンが、見事に優勝を果たした。


ランビアーゼ:大変なレースだったが、素晴らしい運転をしてくれた。予選でもっと上手くやれなかったか、あとで見直してみよう
フェルスタッペン:いいレースだった。序盤に事故とかに巻き込まれなかったし、クリーンな走りができた。ハードタイヤで長く周回できたのが、よかったね


 ポールシッターのペレスがミディアムでスタートしたのに対し、フェルスタッペンはハードを選択。それでもレースペースがいいことはわかっていたので、スタート直後のハミルトンとのバトルも無理せず先行させ、後でゆっくり仕留めていた。マシン戦闘力の高さだけに頼らない、王者らしいレースを見せたフェルスタッペンだった。


フェルスタッペン:ところでジョナサン、誕生日おめでとう。今日は忙しくて、会えなかったからね。とにかく、おめでとう。まだ35歳にしか見えないよ!
ランビアーゼ:ついでに最速タイムも獲得だ。ハードタイヤのスティントで、しっかり話を聴いてくれてありがとう。素晴らしいタイヤマネージメントだった


ペレス:あらゆることを試したけど、最初のミディアムのグレイニングが酷かった。今日のマックスは、本当に強力だった。おめでとうと言う他ないよ


 そして角田裕毅(アルファタウリ)は入賞こそ叶わなかったが、今季ベストと言っていい走りを見せてくれた。


マッティア・スピニ:本当に素晴らしいレースだった
角田:やれることは、すべてやったよ
角田:ドリンクが機能してなかった。それもきつかったね
スピニ:ごめんね

角田裕毅(アルファタウリ)
2023年F1第5戦マイアミGP 角田裕毅(アルファタウリ)



(取材・まとめ 柴田久仁夫)


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ドライバーズランキング

※オーストリアGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ216
2位ランド・ノリス201
3位マックス・フェルスタッペン155
4位ジョージ・ラッセル146
5位シャルル・ルクレール119
6位ルイス・ハミルトン91
7位アンドレア・キミ・アントネッリ63
8位アレクサンダー・アルボン42
9位エステバン・オコン23
10位ニコ・ヒュルケンベルグ22

チームランキング

※オーストリアGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム417
2位スクーデリア・フェラーリHP210
3位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム209
4位オラクル・レッドブル・レーシング162
5位ウイリアムズ・レーシング55
6位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム36
7位マネーグラム・ハースF1チーム29
8位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム28
9位ステークF1チーム・キック・ザウバー26
10位BWTアルピーヌF1チーム11

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