F速

  • 会員登録
  • ログイン

【津川哲夫の私的F1メカ】2019年の焦点になる革新的ホイール戦争。メルセデスのタイヤ温度管理法を解説

2018年11月20日

 ここ最近、F1のメカニカル関連でもっとも話題に挙がっているのがメルセデスのホイールだ。今季のメルセデスはリヤタイヤのマネジメントに苦しんできた。特に温度管理に神経質な柔らかいコンパウンドで、メルセデスは悩んできたのだ。とは言え、そもそもタイヤの温度管理&制御はとてつもなく高い次元での話で、並のチームではそのレベルにまでとても辿りついていないのが現状なのだが……。


 タイヤの温度管理はもちろん、サスペンションでのメカニカルグリップの制御やダウンフォースの変化や大きさ、そしてエンジン出力とトルクの後輪への伝え方など、タイヤマメジメントにはさまざまな要素が絡んでいる。そのなかでも、ここではブレーキとホイールを使っての温度管理にフォーカスしてみたい。


 まずは、大まかな流れから。タイヤの表面温度がもっとも上がるタイミングは、ご存知のようにブレーキング時で、当然、ブレーキディスクも高温になる。ブレーキディスクとパッドの摩擦で発生する熱は、減速エナジーに変換され、この熱はブレーキ・クーリングダクトを使って冷却排熱され、ホイール外側へと排出される。

2018年F1 メルセデスの革新的ホイール
2018年のシーズン途中からメルセデスが投入して物議を醸している新ホイール


 そして現在ではこの排熱された空気をホイールへあてて、ホイールの温度、タイヤ内空気の温度、そしてタイヤそのモノの温度を内側から調整する役割を担うようになっている。当然、ブレーキがオーバーヒート気味になれば、この一連のルートはみなオーバーヒートすることになる。


 今シーズンのメルセデスはたびたび、このブレーキのオーバーヒートに見舞われてきた。前出の論理でもわかるように、ブレーキのオーバーヒートによって、タイヤの温度管理も難しくなってしまったのだ。


 この循環に陥ってしまうと、ブレーキの冷却を最優先とせざるを得ず、ホイールの温度コントロールは後手に回り、タイヤの温度管理は難しくなる。そのため、メルセデスだけではなくて多くのチームがホイールの表面にさまざまな工夫を凝らし、全体の表面積を上げることで冷却を促進してブレーキ冷却とのバランスをとっている。


 メルセデスはホイール内周面にバルジを配置して面積を稼ぎ、このバルジ部の増加分、タイヤの空気容積を増した。また、スポークも中空にして同じく内部空間容積を増量。さらにここ数戦、ホイールマウント面にスペーサーを使い、本来密着されている部分に複数の空間を造り、冷却空気流路として追加している。


 これらのトライは2019年シーズンへの布石と考えて良さそうだ。さらに過熱しそうなF1でのホイール戦争。来シーズンの戦いはもうとっくに始まっている。



(Tetsuo Tsugawa)


レース

5/16(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
5/17(土) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
5/18(日) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※エミリア・ロマーニャGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ146
2位ランド・ノリス133
3位マックス・フェルスタッペン124
4位ジョージ・ラッセル99
5位シャルル・ルクレール61
6位ルイス・ハミルトン53
7位アンドレア・キミ・アントネッリ48
8位アレクサンダー・アルボン40
9位エステバン・オコン14
10位ランス・ストロール14

チームランキング

※エミリア・ロマーニャGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム279
2位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム147
3位オラクル・レッドブル・レーシング131
4位スクーデリア・フェラーリHP114
5位ウイリアムズ・レーシング51
6位マネーグラム・ハースF1チーム20
7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム14
8位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム10
9位BWTアルピーヌF1チーム7
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー6

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
第7戦エミリア・ロマーニャGP 5/18
第8戦モナコGP 5/25
第9戦スペインGP 6/1
第10戦カナダGP 6/15
第11戦オーストリアGP 6/29
  • 最新刊
  • F速

    F速 2025年5月号 Vol.3 日本GP号