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特集:ホンダF1長谷川氏インタビュー前編「16年はロンさんと相当ケンカしました」

2017年1月12日

 ホンダF1復帰2年目から総責任者の役割を担っている長谷川祐介氏が、2016年シーズンを一問一答で振り返る前編。16年はパフォーマンスアップに関してロン・デニスと相当ケンカしたという長谷川氏。信頼性とパフォーマンスの向上を目指す中、長谷川総責任者は16年シーズンをどのように対応したのだろうか。 


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――参戦初年度となった2015年は信頼性不足に悩まされましたが、2016年は信頼性が大幅に向上しました。どのようにして、信頼性を回復させたのでしょうか。


長谷川祐介(以下長谷川):15年に悩まされた問題がひとつではなかったので、それらすべてを総点検して信頼性を立て直しました。たとえば、信頼性を確認するプロシージャー(手続き)を変えたり、レースに投入するパワーユニットのプロセスの考え方を整理しました。15年は、とにかく時間がない中で間に合わせるしかなかったので、そういったところまで手が回らなかったというのが実情でした。その結果、つまらない問題が起きて、さらにその対応に追われ、まるで自転車操業のような状態で戦うしかなかった。そこで16年は、まずは完走できるというベースを作りました。そして、そのためには多少パフォーマンスを犠牲にしてもいいという考えでスタートしました。私が総責任者になって最初の仕事となった16年2月のウインターテストでは、『性能のアップデートは、信頼性をきちんと確認してからでも遅くはない』と、スタッフのみんなと確認しました。シーズン中も、闇雲に新しいモノを投入しなかったのは、そのためです。


――信頼性に関して、マクラーレン側の反応はいかがでしたか。


長谷川:マクラーレンにとってはホンダが信頼性を向上させることは当然のことで、そのうえでパフォーマンスも向上してほしかったと思います。ですから16年、私はロン(デニス/前マクラーレン・テクノロジー・グループCEO兼会長)さんと相当ケンカしました。たとえば、中国GPではエンジンのパフォーマンスの悪さが浮き彫りになったということもあって、ロンさんは『信頼性なんか気にしないで、もっとパフォーマンスを上げろ』って言ってきました。でも、それはそれだけホンダの信頼性が上がったから言ってきた要求であって、もし16年も15年と同様にトラブルを起していたら、そんなこと(「信頼性なんか気にしないで」)は言ってこなかったと思います。


――「相当ケンカした」ということは、それ以外にも、何かあったんですか。


長谷川:イギリスGPではトークンを使用したアップデートでエアボックスを投入しましたが、その件ではいろいろありました。新しいエアボックスはマクラーレンとの共同開発だったので、マクラーレン側もそれがどのような予定で実践に投入されるかを知っていました。詳しい時期は教えられませんが、そのことをロンさんが知ったとき、『なんで、そんなに時間がかかるんだ。もっと早く投入しろ!!』って、ロンさんに怒鳴られました。私は『投入するために確認しなければならないことがこれだけあるのだから、最短でもシルバーストンにしか入れられない』と説明したのですが、ロンさんは『冗談じゃない!!』と。しかし、ホンダは何ものんびり仕事をしていたわけではなく、シルバーストンに入れるという決断も、実際には予定よりも1戦早かった。さらに途中ではわれわれはもう1戦早いオーストリアGPで入れようと努力もしていました。しかしながら、いろいろな問題から、オーストリアGPには間に合わず、イギリスGPとなったわけです。何もしていなかったわけではない。それでも、ロンさんは『(新しいエアボックスは)次は入るのか?』って、レースごとにバンバン電話をかけてきましたけどね(笑)。


――それで、どのように対応したのですか。


長谷川:年間5基というレギュレーションを考慮すると、16年のPUは4レース分の信頼性が必要なので、それが確認されない限り実戦投入はしないのですが、そのときは1レースでも持てば入れるつもりでした(エアボックスは封印されていない部分のため、問題があれば1戦後にペナルティなしで交換が可能だった)。特に中国GPの後は、われわれも性能向上を少し早く実現しなければならなかったこともあり、1戦でもいいから投入しようという考えていた。でも、あのときは、その1戦ですら持たない可能性があった。それでは、レースにならない。われわれとしては、完走できる確信がないものをレースに入れるつもりはなかった。『レースをエンジンブローで終わらせることだけは絶対にしない』という約束で2016年は戦っていましたから。


――結局、デニスには理解してもらえたのですか。


長谷川:もちろん、理解していましたよ。ただ、ロンさんは非常にピュアな方で、レースに勝つためなら遠慮しないところがあるんです。私はホンダの第3期F1活動でロス・ブラウンとも仕事をしましたが、彼もそういうところがありましたね。


――そういう苦労があって、16年の信頼性は大きく向上したわけですね。


長谷川:15年にわれわれは12基のエンジンを2人のドライバーが使用しましたが、16年はジェンソン(バトン)が6基、フェルナンド(アロンソ)も8基で戦いきることができました。これも開幕戦でのクラッシュなどイレギュラーな事態が起きなければ、基本性能としてはレギュレーションで定められた年間5基でまかなうことができるだけの耐久性はあったはずだと思っています。したがって、信頼性に関しては、2年目としては合格点をあげたい。ただ、それは自己評価であって、ライバルと比較すると信頼面でもまだ差をつけられている。セッションをストップさせたり、レースをリタイアさせるトラブルが何度かあったことを考えると、17年はさらにもう一段階、上を目指さなくてはなりません。さらに馬力という面でもライバルに追いつかなくてはならないですね。


後編につづく



(Masahiro Owari)




レース

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