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今宮純の決勝インプレッション:フェラーリの確かな進歩、されど敵の背中は遠く

2016年9月7日

 モンツァの華はスタート。“奇跡”が起こりかけた。ポールポジションのルイス・ハミルトンは加速せず、たちまち周囲のマシンにのみこまれた。どうする、どうなる1コーナー、バリアンテ・レティフィーロ。


 車列が、ふたつに分かれた。ピット寄り先頭にニコ・ロズベルグ、背後にキミ・ライコネンがぴったりつける。スタンド側先頭にはセバスチャン・ベッテル、続いてバルテリ・ボッタスがハミルトンを回り込んで抜き、追従。ティフォシたちにはベッテルが一瞬前のように見えたのだが……歓声は、ため息に変わる。インをしっかり固めたロズベルグが先頭を守った。右、左と切り込みベッテルは次のクルバ・グランデに向けてトラクションを重視。何度かそこでアロンソと並走し、ロッジアまでに抜いたことがある。


 ロズベルグは落ち着いていた。相手がチームメイトでないと気負わず、あせらずに集中できる。今シーズン序盤から何度も見せた単独走になったときの強み、1周目1.052秒、2周目1.404秒、全力走ベッテルを、じわじわ引き離しにかかる。悲惨なスタートによって予選までの勢いを台無しにしたハミルトンは6番手から、まずダニエル・リカルドを抜き5番手、前には「ボッタスの壁」ができていた。


 話をスタートに戻すと、後方で間一髪の場面があった。初めて予選Q3突破、10位につけたエステバン・グティエレスが加速せず、真後ろの12位フェルナンド・アロンソが大きく右に避けた。すると左からフェリペ・マッサが転進、またこれをコース右側いっぱいまで使って避ける。ベテラン同志だから問題なく、お互い「3ポジション・アップ」で切り抜けた。


 ジェンソン・バトンは、そうはいかなかった。危険地帯の14位グリッドから、やや鈍い加速で集団の中にはまった。1コーナーはスクランブル交差点状態、外側に出て難を逃れるが順位を下げてしまい、レズモでザウバーの若者に押し出される。最後尾まで落ちて22番手から、298戦目の“モンツァ・ラストラン”、追突されて1周リタイアとなったスパの二の舞だけは免れる。


 超高速戦イタリアGPでは2003年に、ミハエル・シューマッハーが1時間14分19秒838の「フルレース・最短タイム」を残している。他のグランプリより30分くらい短いレース、スピーディな展開がイタリア人気質に合っている。


 ワンストップ単独走のまま、ロズベルグが1時間17分28秒089で走破、昨年ハミルトンは1時間18分00秒688だった。30秒以上も短縮、今年メルセデスの“豪速”ぶりが感じられる。


 3 – 4スタートから、そのままフィニッシュしたフェラーリ。3位ベッテルは1時間17分49秒079だった。昨年2位の彼は1時間18分25秒730だから、35秒以上も縮めている。ベッテルもライコネンもパフォーマンス向上を自覚していているが、さらにメルセデスは先へ先へと行ってしまった。最近コクピットに収まるとき、ベッテルがほぼ同年代のロマン・グロージャンやニコ・ヒュルケンベルグよりも老けたように感じる。


 本社会長ならびにVIPが難しい表情で観戦するガレージの様子は重苦しく、責任感が強いベッテルはフェラーリ2年目のプレッシャーを両肩に背負っているかに見える。表彰セレモニー前、控室でピレリの「1stキャップ」をかぶってしまい、まわりに指摘された。いままでのベッテルなら笑ってギャグのひとつもやってみせただろうに……。


 名物の空中表彰台に立つと、はしゃぐティフォシたちに笑顔で応えたベッテル、今シーズン最も厳しく耐えねばならなかったイタリアGPが終わった。



(Text : Jun Imamiya)




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