FIAが今年の2レースエンジンルールの“正しい解釈”を明確化する声明を発表した。これにより今週末のマレーシアGPでのBARホンダチームの戦術に影響が及ぶ可能性もある。
BARチームは2週間前のオーストラリアGPの最終ラップで、ジェンソン・バトンと佐藤琢磨をピットに呼び入れ、‘リタイア’させた。これによりセパンでは2台ともフレッシュエンジンを搭載できると考えての判断だった。しかし、FIAが発表した最新の文書は、彼らがこのルールの抜け穴を利用できるかどうかについて、疑いを抱かせるに十分なものだ。
現行のルールは次のように定められている。
「各ドライバーは連続する2つのイベントについて1基のエンジンのみを使用することができる。あるドライバーが別のエンジンを使わざるをえなくなった場合、そのドライバーはそのイベントでのスターティンググリッドを10位後方へ下げられ、次のイベントの終わりまで新しいエンジンを使用することはできない。2つのイベントの最初のレースでレースを完走できなかったドライバーは、ペナルティを課されることなく別のエンジンを使って次のレースをスタートできる」
「2005年フォーミュラワン・スポーティングレギュレーション第8項の最初のパラグラフの最後の文が加えられた目的は、あるドライバーが連続する2イベントの1つ目を完走できなかった場合、そのドライバーがエンジンを交換しても2つ目のレースではペナルティを受けないようにすることだった。これはひとつのレースを完走できないことが、すでに十分なペナルティであるという考え方による」と、FIAの声明は述べている。
BARはこのルールに対する解釈は、もし彼らのマシンがメルボルンでチェッカーフラッグを受けなければ、2人のドライバーはリタイアしたものと見なされ、マレーシアでは新しいエンジンを使用する権利があるというものだ。これに対してFIAは、彼らの考えによる‘純粋な’リタイアと‘意図的な’リタイアの違いを示すという動きに出た。
「メルボルンでのレースの最終ラップで起きたことの結果として、ここで‘完走できなかった場合’と‘完走しないことを選んだ場合’の区別を示すことにする。通常の場合、前者はアクシデントまたはドライバーのコントロールが及ばないものであり、後者はその点で異なっている」
「規則の意図が完全に尊重されるようにするため、今後はその理由が明らかである場合を除いて、2つのレースの1つ目で完走しなかったドライバーが所属するチームに対し、そのリタイアの状況を当該イベントのスチュワードに説明することを求める」
FIAがこの明確化をマレーシアGPに先立って施行するかどうかは、現時点では明らかにされていない。BARは2台のレースカーに新しいエンジンを積んでセパン入りする予定だが、FIAがこの新しい解釈をただちに施行した場合、グリッドを10位後退させるペナルティの対象になる可能性がある。