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【F1第8戦無線レビュー:予選】角田裕毅「先週から進歩できた。いいクルマを作ってくれたおかげだ」2度目のQ3で8番手

2021年6月27日

 2021年F1第8戦シュタイアーマルクGPの予選。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが今シーズン3回目のポールポジションを獲得したが、レッドブルリンクのコース上ではQ1から熾烈な争いが繰り広げられた。シュタイアーマルクGP予選の様子を無線とともに振り返る。


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【Q1】

 全長4.318km、ターン数がわずか10しかなく、ラップタイムは全23戦中最短の90秒未満のレッドブルリンク。予選では100分の1秒を争う、激烈なバトルが予想された。


 アルファタウリ・ホンダはまず角田裕毅がコースイン。MGU-Kに出たデータ異常で初日FP2を1周も走れなかったピエール・ガスリーも、そのあとに続いた。担当エンジニアのピエール・アムランが、コースコンディションの情報を伝える。


アムラン:ターン3で追い風だ


 上りながらのフルブレーキングを行うターン3は、路面が微妙にうねっていることもあり挙動を乱しやすい。追い風だとダウンフォースが抜けやすく、なおさら難しい。それでもガスリーは、角田のタイムを0.017秒しのいで、暫定トップに立った。

2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)


 その後も次々に、マシンがコースに出ていく。


トム・スタラード:ダブルクールダウンで、もう1回アタックしよう。15台がコース上にいる


 ダニエル・リカルド(マクラーレン)の担当エンジニア、トム・スタラードも絶え間なく情報を伝える。タイヤのタレが大きくなく、ワンチャンスのアタックでは渋滞でふいになる危険も大きいことから、ほとんどのドライバーが1セットのタイヤで2回アタックを選択。しかもアタック後にクールダウンを2周するので、コース上の渋滞はさらにひどくなる。


ジョージ・ラッセル:トラフィックだらけだよ


 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が1分4秒台前半タイムでトップに立つ一方で、セルジオ・ペレスはなかなかペースが伸びず、1セット目のアタックでは11番手にとどまった。


ヒュー・バード:タイムロスはターン7、それと9、10だ。コーナー中盤のスピード不足だ


 ルイス・ハミルトン(メルセデス)も、トップタイムを出したFP3の勢いがない。


ピーター・ボニントン:P4だ。首位のフェルスタッペンとはコンマ2秒差。大丈夫だと思うが、もう1回行こうか


 しかしこのタイムでもQ2進出はいけるだろうと、2度目のアタックは見合わせた。ピーター・ボニントン(通称ボノ)が、フェルスタッペンとの区間ごとのタイム差を伝える。


ボノ:セクターごとの差は、セクター1で1000分の4秒、セクター2が100分の3秒、最終セクターはコンマ1秒だった
ハミルトン:ターン10が最悪だった
ボノ:だね

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

【Q2】

 ハミルトンはQ2になっても、なかなかペースが伸びない。ミディアムでの最初のアタックは、暫定トップのフェルスタッペンよりコンマ8秒も遅かった。


ボノ:ターン3のロスが大きいね。コンマ6秒だ
ハミルトン:他のコーナーは?
ボノ:一番はターン3だ


 Q1でガスリーを凌ぐ4番手タイムを叩き出した角田は、Q1の自己ベストを更新することができなかったものの、8番手でQ3進出を果たした。


角田:ターン4はスナッピー、ターン6は進入で安定しない
スピニ:ボックスだ


角田:ジョビナッツィは、何してるんだ
スピニ:うん、見てるよ


 ジョビナッツィに進路妨害されたのか。しかし無線の声は、今までに比べればずっと落ち着いている。

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)


 一方ガスリーは、ソフトタイヤでの最初のアタックでトップに立った。


アムラン:素晴らしいラップだった! もう1セット行ったら、どれぐらい縮められる?
ガスリー:そうだなあ……コンマ5秒は行けるかな


 このタイムで十分安全圏内にあり、Q3の2回のアタックをともにニュータイヤで行うために、最終的に1セットのアタックにとどめた。


 一方でリカルドは、レッドブルリンクでもなかなか速さが発揮できない。Q1ではぎりぎり15番手。16番手ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)とわずか0.033秒差で、辛くもQ2進出を果たした。しかしQ2でもペースは伸びず、13番手に終わった。


スタラード:P13だ。でもいいステップだった
リカルド:了解した。何が問題だったのか、解明しないと
スタラード:心配するな。ここはレースでたくさんのアクションが起きる。そこで挽回すればいいんだ。

ダニエル・リカルド(マクラーレン)
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP ダニエル・リカルド(マクラーレン)

【Q3】

 フロントタイヤの温まりに悩むハミルトンは、真っ先にコースに出て行った。1セット目2回目のアタックで1分4秒067で自己ベストを更新。しかしフェルスタッペンにコンマ2秒以上の差をつけられてしまう。


 セッション終盤、コースインのタイミングが遅かったフェルスタッペンは、チェッカーまでに2度目のアタックができない恐れもあった。しかも目の前の何台ものマシンを、抜いていかなければならない。エンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼが残り時間を頻繁に伝える。


ランビアーゼ:まだ15秒ある。間に合うぞ
フェルスタッペン:山ほどクルマがいる!
ランビアーゼ:大丈夫だ


 結局暫定ポールポジションタイムは更新できなかったが、ハミルトンのタイムも伸びず、2戦連続ポールポジションが確定した。


ランビアーゼ:ポールポジションだ!
フェルスタッペン:最高だ!
ホーナー代表:素晴らしい。どっちのラップでもポールだった!

2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がポールポジションを獲得


 敗れたハミルトンは、ただひとこと「みんな、すまなかった」と謝罪した。


 リカルドとは対照的に絶好調のランド・ノリス(マクラーレン)。ペレスを凌ぐ4番手タイムだった。


ウィル・ジョゼフ:P4だ
ノリス:素晴らしい。ターン1でミスったけどね。明日に向けてはいい位置だね
ジョゼフ:そう。ボッタスがグリッド降格で、3番手スタートだ


 Q3最初のアタックの際、ボッタスの無線から「ツノダのXXX」と罵倒の言葉が流れた。ターン4のブレーキングで、邪魔されたのだった。角田自身は最後のアタックでQ2での自己ベストを更新し、アゼルバイジャンに続く8番手タイムを出した。


スピニ:ユウキ、8番手だ。グッジョブ(背後に拍手の音)
角田:ありがとう。ガスリーは?
スピニ:P6だ。4秒2と4秒5だった。悪くない
角田:うん、悪くなかった。いくつかミスも犯したけど。でも先週から進歩できた。いいクルマを作ってくれたおかげだよ
スピニ:いい1日だった


 ボッタスを妨害したことで3番グリッド降格のペナルティを科されたのは残念だったが、終始落ち着いた走りの角田だった。



(取材・まとめ 柴田久仁夫)




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9位ルイス・ハミルトン19
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2位スクーデリア・フェラーリ151
3位マクラーレン・フォーミュラ1チーム96
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム52
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム40
6位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム7
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