【F1第12戦無線レビュー(1)】「いいコールだ」絶妙なタイミングのピットインで順位を上げたフェルスタッペン
2024年7月11日
2024年F1第12戦イギリスGP。今年のイギリスGPは、イギリス人ドライバーがトップ3からスタート。ドライからウエットに変わる難しいコンディションのなか、上位勢はわずかの差でポジションを上げた者、下げた者に別れる展開となった。イギリスGP前半を無線とともに振り返る。
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決勝レースの行われた日曜日は昼過ぎまで雨が降り、グリッドに向かうドライバーたちはインターミディエイトタイヤを装着した。ここでピエール・ガスリー(アルピーヌ)に問題が発生した。
カレル・ルース(→ガスリー):問題がある。ギヤボックスのようだ。
ガスリーはフォーメーションラップを終えてガレージに入り、1周もせずレースを終えた。
スタートでは直後の混乱状態のなか、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)と接触する。
アルボン:左フロントにダメージを負ったみたいだ。
ジェームズ・アーウィン:空力にダメージがあるようだ。プレッシャー(タイヤの内圧)には、問題ない。
すぐ後ろを走るローガン・サージェント(ウイリアムズ)もピットに報告した。
サージェント:アレックスのクルマから大きなパーツが取れそうだ!
スタートタイヤは全車がスリック。しかし雨雲が刻々とサーキット上空に迫っていた。いつ、どの方向から来るのか。チームによって異なる情報が錯綜した。
2周目
ピーター・ボニントン(→ルイス・ハミルトン):25分後に雨だ。
4周目
ウィル・ジョゼフ(→ランド・ノリス):6周目に軽い雨が来そうだ。T15(ストウ)だね。
6周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→マックス・フェルスタッペン):雨の可能性が増している。16周目あたりだ。
9周目
ブライアン・ボッツィ(→シャルル・ルクレール):雨が降る。強そうだ。
実際には17周目前後から小雨が降り始めた。結果的にはレッドブルの気象分析が、一番正確だったことになる。11周目以降、上位勢の無線でのやりとりが慌ただしくなった。
11周目
ジョゼフ(→ノリス):10分後に雨が来る。その時にどうするか。シンプルな決断で行こう。
トム・スタラード(→オスカー・ピアストリ):雨粒がターン7から来るぞ。そのあと、ターン11で雨だ。
ピアストリ:あちこちで、もうパラパラ来てるよ。
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):最初の雨は5分続いて、すぐに止む。そのあとは、長く降る。
15周目
ジョージ・ラッセル:誰か飛び出したら、教えてくれ。雨が少し強くなっている
16周目
ボッツィ(→ルクレール):すぐに強い雨がくるぞ
ハーフウエット路面でのマクラーレンは速い。ノリス、ピアストリが、3番手まで上がっていたフェルスタッペンを次々に抜いて行った。フェルスタッペンに「焦るな」とランビアーゼが指示する。
17周目
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):ターゲットは、この雨を生き残ることだからな。
18周目、首位を行くラッセルをハミルトンがパス。直後に2台は揃ってコースオフを喫し、それでもすぐにコース復帰。3番手ノリスのすぐ前で戻ってきた。「危険な運転だ」とノリスがアピールする。
18周目
ノリス:ふたりとも、あまり安全ではない方法で戻って来たぞ
しかしスチュワードが動くことはなかった。
19周目、シャルル・ルクレール(フェラーリ)とセルジオ・ペレス(レッドブル)がインターミディエイトに履き替える賭けに出た。しかし雨は思ったほど降らず、2台は最後尾近くまで後退してしまう。
20周目
ペレス:路面が乾きすぎているよ。
21周目
ボニントン:そろそろインターのタイミングじゃないか。どう思う?
ハミルトン:いや、まだ大部分、乾いている。
ボッツィ:スリックの方が3〜4秒速い。タイヤを殺さないよう、気をつけてくれ。雨が強くなるのを待とう。
ルクレール:強く降ることなんて、ないんじゃないか? もうタイヤがダメになりかかってる。とにかく天気のアップデートを頼む。
ボッツィ:3周後に雨だ、3周後だ。
ルクレール:だったら、全然話は別だ。
ボッツィ:とにかく今のタイヤを持たせるんだ。
結局、ルクレールのインターは壊れてしまい、2セット目のインターに履き替えるはめに。戦略は完全に裏目に出た。
対照的に、ここで息を吹き返したのがフェルスタッペンだった。
26周目
フェルスタッペン:ここでピットインかも。
ランビアーゼ:了解だ、マックス。
フェルスタッペン:これから強く降るだろ?
26周目。再び雨が降り始めた機会を逃さず、5番手のフェルスタッペンが真っ先にピットイン。インターに履き替えた。ノリスやハミルトンも1周後にあとを追ったが、フェルスタッペンはこれで3番手に上がった。その判断を、担当エンジニアのランビアーゼが賞賛した。
28周目
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):いいコールだった。優勝争いに戻ったぞ
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F1第12戦無線レビュー(2)に続く
(取材・まとめ 柴田久仁夫)
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8/30(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
8/31(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
9/1(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
1位 | マックス・フェルスタッペン | 303 |
2位 | ランド・ノリス | 241 |
3位 | シャルル・ルクレール | 217 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 197 |
5位 | カルロス・サインツ | 184 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 164 |
7位 | セルジオ・ペレス | 143 |
8位 | ジョージ・ラッセル | 128 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 50 |
10位 | ランス・ストロール | 24 |
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 446 |
2位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 438 |
3位 | スクーデリア・フェラーリ | 407 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 292 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 74 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 34 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 28 |
8位 | BWTアルピーヌF1チーム | 13 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 6 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第16戦 | イタリアGP | 9/1 |
第17戦 | アゼルバイジャンGP | 9/15 |
第18戦 | シンガポールGP | 9/22 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |