携帯電話によって撮影されたように見えるその映像は、ハミルトンが左曲がりのコーナーにおいて道幅の右端まで移動している様子を写している。それによってハミルトンとの接触を避けるためにウェーバーは、スローダウンを余儀なくされている。ベッテルは後にハミルトンに気を取られ、その後レッドブルのマシンに追突してしまったと認めている。
日本GPにおける2度のセーフティーカー導入時に、ハミルトンは急加速、急制動を行っていたように見えた。最初の“スタート”時には、そのためにマクラーレンのチームメイトであるフェルナンド・アロンソは、ハミルトンを追い越しそうになり、また、レース中盤でのアロンソのアクシデントによって再びセーフティーカーが導入された際には、ハミルトンはウェーバーとベッテルの前で同様の行為を繰り返した。
F1のルールブックによれば、自分の車両と自分のすぐ前にいる車両の間は“少なくとも車両5台分の車間距離”を維持しなければならないとある。この場合、ハミルトンのすぐ前にいる車両とはセーフティーカーのことである。しかしながらハミルトンは、タイヤとブレーキを温めようとしたところ、ウェーバーが接近してきたのだと反論している。
だがトストは、接触事故の原因を作ったとして、ベッテルが今週末の中国GPにおいて、グリッド順10位降格のペナルティーを受けたことに対し、異議を申し立てることを決意したと語っている。
ベッテルとウェーバーは2人とも、ハミルトンのやり方は後ろにいるドライバーの注意をひきつけるために行ったものだと不満を述べており、中でもウェーバーは、上海で行われた木曜日の記者会見の場でハミルトンの行いは“最悪の行動”と強く批判している。
「ハミルトンがきわめて予想外のスローダウンをしたことは誰の目にも明らかだ」トストは英デイリーテレグラフ紙に語っている。
「セバスチャンは(ウェーバーとハミルトンの)2台の車の間に入るしかない状況だったんだろう。でもそのチャンスはなかった。全体的に予想外のことばかりだったよ。ハミルトンは止まるんだろうと思った。だから僕はスチュワードのところへ行ったんだ」
ハミルトンの違反が認められた場合、最大で10ポイントのペナルティ、あるいは、今週末の中国GPからの出場停止が課せられる。そうなるとタイトル争いは、その後のブラジルまで持ち越されることになるだろう。
そうなると、チャンピオン争いに加わっているアロンソ、およびフェラーリのキミ・ライコネンが有利になってくる。マクラーレンとしては、安全な水準までタイヤとブレーキを暖めるために加減速を行う必要があったと、データを示してハミルトンを弁護するものと見られている。