F1スパイ疑惑に関して最も重要な時期におけるフェラーリの“内部事情”が完全に白日の下に曝されることは、もはや永久にないのかもしれない。ナイジェル・ステップニーの自叙伝の出版を中止する決定が下されたからだ。

　フェラーリのインサイドストーリーとして予告され、「レッド・ミスト（赤い霧）」という仮のタイトルが与えられていたこの本は、年明け早々には書店に並ぶ予定だった。しかし、書名と同じレッド・ミストという名の出版元は、その後、この事業の中止を決定した。中止の理由については、一切明らかにされていない。
　この本では、ステップニーとマクラーレンのデザイナー、マイク・コフランが関与したスパイ疑惑についての多くの謎が明かされることが期待されていた。また、イギリスの国内レースでメカニックとして働いていたステップニーが、F1でも最も有名なチームで現場の運営を任されるようになるまでの経緯も語られるはずだった。
　ステップニー自身は、今後も別の出版社から自叙伝の公刊を目指すものと思われる。

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