先週、不名誉なスパイ事件に関して行われた世界モータースポーツ評議会の聴聞会に、ルイス・ハミルトンとペドロ・デ・ラ・ロサが出席したことはすでに周知のことだったが、元マクラーレン・ドライバーのキミ・ライコネンも証言を行っていたことが、週末になって明らかになった。
コンコルド広場にあるFIA本部で開かれたこの聴聞会の記録は今週中にすべて公開される見込みだが、フェラーリのボス、ジャン・トッドは、同チームのライコネンがこの聴聞会で話すためにベルギーGPの準備中に時間を取ったことを明らかにした。この聴聞会でマクラーレンは、F1の2大チームを巻き込んだスパイ事件への関与により、今季全コンストラクターズ選手権ポイントを剥奪されると共に、1億ドルの罰金を科された。
フェラーリに不満を抱くナイジェル・ステップニーからチーフデザイナーのマイク・コフランが技術資料を受け取ったことにより、窮地に立たされたマクラーレンは、そこから抜け出すために、フェラーリが無線を盗聴していたと主張した。ライコネンの証言はこの主張に対抗するために使われたようだ。
ライコネンは、マクラーレンに在籍していた間ずっと同チームでは無線の盗聴が日常的な習慣になっていたと証言した。ステップニーは“死体がどこに埋められているのか知っている”と発言し、フェラーリの秘密の暴露をほのめかしたが、今回のことは、その脅迫を終結させたことになるかもしれない。
トッドはベルギーでロイター通信の取材に対し、こう答えている。
「キミは、かつて在籍したチームの無線について証人発言を行った」
「フェラーリの“物置に隠された骸骨”、つまりこの10年に起こったかもしれないことに関するおどろくべき出来事についての記事を、数多く読んできた。しかし出された骸骨は無線盗聴だった」
「我々もあるマシンの無線を聞いていることを認めなければならないが、キミの証言では、マクラーレンは2002年から2006年までそれが日常的な習慣だったという。我々の弁護士が(マクラーレンの)証人の一人に、マクラーレンは他チームの無線を聞いていたというのは本当かと聞くと、肯定的な回答が返ってきた」