世界モータースポーツ評議会(WMSC)の2度目の聴聞会の裁定について、FIAが14ページにもわたるレポートを公表した。決定を下す上で重要な証拠となったのは、マクラーレンのペドロ・デ・ラ・ロサとフェルナンド・アロンソの間でかわされたEメールだったようだ。
これまで噂されていたとおり、このふたりの通信によって、マクラーレンのチーフデザイナーが入手したフェラーリの書類に含まれる情報がチームの複数の人間に広まっていたことが明らかになった。
FIAは、ルイス・ハミルトンを含むマクラーレンの3人のドライバーに関連書類の提出を要請、ハミルトンは何の情報もないと返答したが、アロンソとデ・ラ・ロサはEメールをFIAに提出した。
WMSCはこのEメールにより、アロンソとデ・ラ・ロサがマイク・コフラン経由でフェラーリの情報を受け取ったこと、両ドライバーはこの情報がフェラーリの機密情報であり、コフランがナイジェル・ステップニーから受け取ったものであることを知っていたことは明らかであると判断した。
ふたりのかわしたEメールを見ると、ふたりはフェラーリF2007のセッティング、デザインに関する書類のいくつかの分野について認識していたことが分かる。その中には、重量配分、フレキシブルウイング、エアロバランス、タイヤ空気圧およびブレーキシステムに関する手法が含まれている。さらに、ステップニーはフェラーリのレース戦略についての情報も漏らしていたことが明らかになっている。
しかしながらWMSCは、F1ドライバーが単独の責任でフェラーリの情報を扱ったり、その情報を使用あるいはテストするという決断を下すとは考えにくいと、レポートに記述している。コフランが情報を持っており、これをマクラーレンに渡そうと思った場合、デ・ラ・ロサのみに渡すとも考えにくいという。このためWMSCは、マクラーレンの多数の従業員が情報を持っていた、あるいは他の従業員が情報を持っていることを知っていたと判断、マクラーレンの多数の職員の一部に、情報をテストに使用する意思が存在したと考えた。
これによってWMSCは、マクラーレンがある程度のスポーツ上のアドバンテージ(具体的にその度合いを計ることは永遠に不可能である、とも記している)を取得していたとみなし、マクラーレンは国際スポーツ法典151c条に違反しているとして、今季コンストラクターズポイント剥奪および罰金のペナルティーを科すことを決定した。