レッドブル・レーシングのテクニカルチーフ、エイドリアン・ニューウェイは、今年のレースではいい思い出を手にし、1991年の悪夢が払拭されることを願っているという。
当時ウイリアムズに在籍していたニューウェイは、ナイジェル・マンセルのマシンを担当していた。91年のカナダGPでの“悪夢”とは、勝利を目前にして観客の声援に手を振って応えようとしたマンセルが、誤ってエンジンのカットオフスイッチに触れてしまい、何が起きたのか分からずに当惑するネルソン・ピケに優勝を“プレゼント”したという一件のことだ。その結果、2位にはティレルのステファノ・モデナ、3位にはウイリアムズのチームメイト、リカルド・パトレーゼが入り、記録上マンセルは1周遅れの6位となった。ちなみに、4位と5位には2台のジョーダンが入り、新チームにとっての初ポイントを記録している。
「私のエンジニアとしてのF1初勝利は、1991年のカナダになるはずだった。ナイジェル・マンセルが2位以下を大きく引き離してレースをリードしていたんだ」と当時を振り返るニューウェイ。
「その後、何が起きたかは歴史に記されているとおりだ」
「当時、その現実を受け入れるのはとても難しかった。レイトンハウスとウイリアムズで何年も苦労した末に、ようやく初めての勝利を手にするのだと思っていたからね。ところが、フィニッシュまであとわずか4分の1マイルで、全てが台無しになってしまった。もうこれ以上ないというくらいに落胆したのを、今でもよく憶えているよ」
ニューウェイは、レッドブル・レーシングがポイントフィニッシュを狙うためには、まず信頼性の問題を克服する必要があることを認めているが、チームは正しい方向へ進んでいるという自信があるとも述べた。
「私たちは主にギアボックスの電子制御とハイドロリックの信頼性の問題を克服しようと努力している。だが、その点に関しては、すでにある程度の前進が見られたと思っている」