改良を施した空力パッケージが今週末のマレーシアGPでうまく機能し、彼らが望む速さにより近づけることを願うルノーF1チームだが、テクニカルディレクターのボブ・ベルによれば、まだフェラーリやマクラーレンにチャレンジできる段階にはないのだという。
トップチームとの間に大きな隔たりがあったことに驚いたとエンジニアリングディレクターのパット・シモンズが認めるように、2年連続で獲得したタイトルを防衛したいルノーは、期待はずれのシーズンスタートを切った。
彼らは、先週セパンで行われた合同テストの間も最新パーツの試行に追われており、ヘイキ・コバライネンはテスト最終日にトップタイムをマークした。しかしベルは、マレーシアで大躍進を遂げるという予想には首を傾げている。
「チーム内には、メルボルンの時よりも前進したことを示したいという願いがある」とベル。
「現段階では、フェラーリやマクラーレンを掴まえるといった話は現実的ではないが、我々が前進できていること、そして前とのギャップが縮まりつつあることを示さなくてはならない」
「このポジションに甘んじているというのは、チームの誰にとっても腹立たしいことだ。なぜなら、我々が競争心の強い人間だからだ。優勝したいし、負けるのは嫌だ。自分たちのパフォーマンスを向上させることが我々の責任だし、このことが強いモチベーションになっている。だが、チーム内で集中が切れたり、決意が揺るいだりすることはない。昨年の今頃と同じように集中し、状況を好転させようと懸命に頑張っている」
空力を微調整したR27がセパンでお目見えする予定だが、その開発だけが今週末のレースに影響を与えることはないとベルは語っている。
「マレーシアで投入される主なものは、パフォーマンスを助ける新しいフロントウイングだ。しかし相対的なパフォーマンスの序列は、先週FIAが明らかにしたボディワークのレギュレーションに、各チームがどれだけ上手く対応できたかで決まるはずだ」とベル。
「フロア部分の新しいテスト方式は、全チームが苦労したに違いない。この変更に彼らがどれだけ対応できたか、それがどんなパフォーマンス面の開発よりも大きな影響を与えるだろう」
セパンは、通常ルノーが得意としているサーキットだが、現状のマシンでは厳しいかもしれないという考えがあるだけに、新しいフロントウイングにかなりの信頼を寄せているようだ。
「メルボルンでのレースの週末や先週行われたセパンテストで、とりわけオールドタイヤを履いた状態でのマシンバランスの良さが明らかになった。しかしオーストラリアでは、全般的なグリップ不足も露呈しており、高速コーナーでは明らかに不利に働くだろう」
「自分たちが進歩を遂げ、トップチームに近づけていることを願っているが、全てはコース上で明らかになるだろう」
「(メルボルンでの信頼性不足という)同じ問題を繰り返さないよう、対策は施されている。特に自分たちに速さが足りないという現状を考えると、信頼性の不足に悩まされている場合ではない。死角なきマシンが必要であり、それをマレーシアで確認できることを願っている」
「マシンを適切にするための大掛かりな開発プログラムも準備が整っているし、現状を考え、できるだけ速やかに新しいパーツを投入できるよう、より懸命にプッシュしていくつもりだ。ここ数シーズン、選手権のリードを守るために、ある程度の注意を普Eって自分たちの攻撃的な面を抑えてきた。しかし今年、我々に失うものなどひとつもない。おかげでこれまで以上にアグレッシブになれるだろう」
メルボルンでのトップグループに比べて、ルノーの速さが不足していることは、(最終日を除き)セパンテストでコバライネンやネルソン・ピケJrが下位に沈んだことで浮き彫りとなったようだが、ベルはそのデータをさほど気にしてはいないと述べた。
「何よりも新しいテスト制限に対する自分たちの姿勢が、そこに反映されているのだと思う」
「シーズンを通して1台しかテストに参加させられない中、やらなければならない開発作業の多さを考えると、マシンをどう走らせるかを突き詰める必要があり、開発パーツの走行で距離を伸ばし、そこで信頼性の作業を終わらせることになる。そのため、速いタイムをマークする機会を失うという連鎖反応が起こるんだ。結局、テストのタイムが真の競争力を的確に示すことはないし、(今シーズンは)そのことが以前より顕著になっている」