ルノーのヘイキ・コバライネンは、今週末のマレーシアGPでセパン・サーキットを走る際には、前戦オーストラリアGPを過去のものと割り切り、そのF1デビュー戦を深く思い出すことはないだろう。
フィンランド出身のコバライネンは、ここ2週間、フラビオ・ブリアトーレに“ナンセンスだ”と批判されたことが頭から離れなかったはずだ。しかし、彼は先週セパンで行われた合同テスト最終日にトップタイムを叩き出すことで自らの士気を高めたようで、彼の持つ真のポテンシャルを見せるという自信とともに、マレーシアに再び向かう。
「アルバートパークでの週末は忘れたいものだ。でもすでに過去の話だよ」とコバライネン。
「メルボルン以降、僕のすべての意識は次のレースに向いているし、自分が到達できるレベルでの走りをすることに集中している」
「マシンを思いどおりに操れるよう、セパンのテストではチームと懸命に作業を進めたよ。その時にサーキットや走行ライン、ブレーキポイントなどを学習できたから、レースの週末に向けて手堅い一歩を踏み出せると思う。もうメルボルンのことは忘れて、マレーシアでいいレースをすると心に決めているよ」
しかしコバライネンは、その仕事が簡単にいくとは思っていない。オーストラリアを見ても分かるように、ルノーがフェラーリやマクラーレン、そしてBMWを追う立場にあるのは明らかであり、(次のマレーシアが)おそらくF1スケジュールの中で最も厳しいレースになると考えているからだ。
「あのコンディションのために、おそらくシーズン中で最も厳しいレースになると思う」とコバライネンは説明する。
「ストレートを走っている時ですら熱風がすごいし、涼しさが全く感じられず、体力的にもかなり堪えるんだ。厳しいものになるだろうけど、このレースのためにトレーニングを積んできたし、準備はできているよ」
セパンテストではほとんどタイムシートの下位に沈んだルノーだが、コバライネンは、チームが4日間のセッションで今週末の助けになるような進歩を遂げたと語った。
「それは間違いない」とコバライネン。
「マシンの基本的なセットアップとして、優れたものを見出せた。レースの週末と同じようなコンディション下でね。気温がとても高いので、パッケージから最大限の力を引き出すため、主な焦点はマシンとエンジンにとって最適なクーリングレベルを探すことになる。つまりは、必要以上にダウンフォースを削ることなく、エンジンに十分な風を送り込むということだ」
「その後はもちろん、通常の範囲内でセットアップ作業を進め、新品タイヤ、もしくは中古タイヤでの優れたマシンバランスを探すため、ダウンフォースレベルやサスペンションのセッティング、タイヤの空気圧を考えていくはずだ。いつものように、全ての異なる要素の中で最も効果的な妥協点を見出していくことになるだろう」
テクニカルディレクターのボブ・ベルは、コバライネンがミスの多かったデビュー戦の失意から立ち直ることができると確信している。
「ヘイキは、前戦よりもいい成績を残すと意気込んでいる」とベル。
「マシン性能を最大限に引き出すという点で、ジャンカルロ(・フィジケラ)がヘイキのハードルを上げているのは彼自身も理解している。しかし今週、彼には十分に準備をするチャンスがあったし、彼の能力に相応しい走りを期待している」