フェラーリのキミ・ライコネンは、移籍後初のレースとなった開幕戦オーストラリアGPで、自分が優勝できるとは予想だにしていなかったと語っている。
メルボルンでの勝利から数日が経過し、ようやくその騒ぎも一段落した。ライコネンは、開幕戦で最初から最後までトップを快走し、最大のライバルであるマクラーレンのフェルナンド・アロンソ、ルイス・ハミルトンのふたりを余裕で凌ぎ、週末を通して圧倒的な力を見せた。しかし彼は、この勝利を楽に手にしたわけではないと語っている。
「マラネロに着いた初日から、嬉しさを隠し切れなかった」とライコネン。
「このチームでの初優勝を果たした今、嬉しさがさらにこみ上げているよ。こんなことがあるとはね」
「フェラーリとの契約にサインした時、すぐにでも優勝できたら最高だろうなと思っていた。でも、メルボルンで想像以上に早く達成してしまった。“跳ね馬”で初優勝を成し遂げてね」
「これまでのキャリアで開幕戦に勝ったことは一度もなかったし、これ以上にないほど大満足だった」
「新しいチームでレースを走り出す時は、できるだけ早く成功を収めようと努力するものだ。(新チームでの)デビュー戦でそれを成し遂げられるなんて、まさに最高だよ。ある意味、昨年の冬に夢見ていたことが実現したんだ。フェラーリも僕も最高のスタートが切れたね。優勝、ポールポジション、ファステストラップ、その全てを手にした」
「はた目からは楽なレースに見えたかもしれないけど、レース後の記者会見で言ったように、全く楽じゃなかったよ。簡単に優勝できるレースなんて、ひとつもない」
「メルボルンでは小さなトラブルをいくつか抱えていた。最も大変だったのは、プラグに不具合が生じて無線が使えなかったことだ。グリッド上でマシンに乗り込んだ途端その状態に陥ったものだから、それ以降はピットウォールとのコミュニケーションがまったく取れなかった。運よくレースの内容を事細かに打ち合わせていたので、58周のレース中、そのプログラムに集中するのみだった」
「スタートが重要なのは分かっていたよ。前日に掴んだポジションを守りきることに全力を尽くし、見事に成功した」
「第1コーナーの後でトップに立った後は、担当エンジニアのクリス・ダイヤーとは話せなかったけど、状況が少しだけ落ち着いてきた。レース中の競争力がかなり高いことも分かっていたし、限界まで攻める必要もなかった。でも無線が使えていたら、もっと速く走れたかもしれないね」
「一度だけ、ちょうど残り10周というところで、眠りそうになったんだ!注意力が散漫になって、集中力が少し落ちていたんだ。タイヤをロックしてしまい、ターン3で少しだけ膨らんでしまった。無線が使えなかったけど、チームスタッフはこう言っていたはずだ。“キミ、起きろ!”とね」
「チームは僕に情報を伝えようとして、ボードを駆使してあれこれやっていた。ほかのチームのボードと区別するのが難しくて、何度か見損ねてしまったけどね」
「チェッカーフラッグを受けた瞬間は本当に感動的だったし、ピットウォールのみんなと一緒に勝利を祝うことができて、最高に嬉しかったよ。この世の何事にも変えがたい瞬間だった」
「この勝利はチームにとってすごく重要だったけど、予選でフェリペ(・マッサ)のマシンに起きたトラブルは実に残念だったね。僕らは可能なかぎりのベストリザルトを持ち帰ることができたはずなのに、それができなかった」
「ファンの皆が楽しんでくれたことを願うよ。僕らがメルボルンで味わった喜びを共有できているといいね。この勝利を世界中のフェラーリファンに捧げたいと思う。特にイタリア国内のファンと、母国フィンランドにファンに。またすぐにファンと祝うことができるといいね!」