キミ・ライコネンは、オーストラリアGPの結果は、本人やフェラーリが予想したようなものだったと認める一方で、物事は見た目ほど簡単ではなかったと述べた。
マクラーレンのフェルナンド・アロンソに約7秒の差をつけて余裕の勝利を飾った後、フィンランド出身のライコネンは、F2007のドライブ中、気になる問題はいくつかあったが、総じてフェラーリドライバーとしての初戦を楽しんだ、と明かした。
ライコネンは、「もちろん、新しいチームで、何もかも新しい状況で勝てるなんて、特別な瞬間だよ。それも初戦を制することができたんだ」と語り、笑顔を見せた。
「こんなこと、僕には初めてだった。ここで良いレースを戦ったことはあったけど一度も勝てなかったし、シーズンのスタートとしては理想的な形だよ。少なくとも皆は“いつになったら勝てるの?”と質問しなくなるだろう」
周囲から見たとおり簡単なレースだったかと問われると、ライコネンはいい気分だったと答えながらも、ライバルに向けて警鐘を鳴らした。もしマシンを向上させられるなら、もっと実力が出せるという。
「僕らはこういう結果は予想できていたけど、何が起きるかは、100%確信できていなかったと思う」とライコネン。
「(今回は)100%プッシュする必要がなかった。現時点では好位置につけているということだろう。でも、次は次で全く別の話になるはずだから、プッシュしてパッケージ全体を向上させ、より飛躍すべきだと思う」
「上を見ればきりがないが、今日は絶好調だった。マシンはずっと動きが良くて、何の文句もなかった。土曜日が終わった時点で、全てがうまく行けば問題ないはずだと分かっていたしね。全ては好スタートが切れるかどうか、そして速さがあるかどうかにかかって来る――。僕らには速さがあったし、全てが正しい方向に向かっていたから、このレースは僕らのものになると思っていたんだ。最も厄介な問題は、周回遅れのマシンだった。彼らは、後ろにマシンがいることになかなか気付いてくれなかったんだ。でも僕自身は満足だよ。新しいシーズンを迎え、すぐに優勝できたんだからね。このチームにいられて本当に嬉しいよ。この流れにもマシンの状態にも満足だし、今以上の状況は望めないだろう」
マクラーレンの2台がはるか後方でバトルを展開していたため、ライコネンは何の心配もなく58周を走りきった。しかし、その状況が油断を招いたという。
「タイヤをロックさせてしまったんだ――。それほどプッシュしていたわけではなく、何か他のものを見ていた。完璧に自分のミスだ」
「幸運にも大事には至らなかったけどね。100%でプッシュしていないときは、そういうことが起きやすい。あの時はブレーキが少しだけ遅れて、タイヤをロックさせてしまった。でも(後続との)タイム差が十分にあると分かっていたから、あまり(リカバリーを)急ぐ必要はなかった」
油断とは別に、ライコネンが唯一抱えていたトラブルは、ピットと通信できなくなったことだという。だが、本人はそれを大変な出来事だとは捉えていなかった。
「スタート直前に僕の無線が壊れてしまい、レースの間中、無線が使えなかったんだ」とライコネンは明かした。
「少し面倒だったけど、少なくともレース前に打ち合わせていたから、自分が何をすべきかは、ちゃんと理解していたよ」
「ある意味、理想的な状況ではなかったにしても、僕らにはいいレースだった。僕らは相当に速くて、必死にプッシュする必要もなかった――。ただ少しだけ気楽に構え、周囲の様子を見ていればよかった。最後はマシンをゴールさせるだけだったしね」