昨年以上の飛躍を期すHondaにとって、ウインターテストの結果は必ずしも満足のいくものではなかった。今週末に行われる開幕戦オーストラリアGPを前に、中本修平シニア・テクニカル・ディレクターは冬のテストをこう振り返っている。
「1月に新車を走らせて以降、いくつかの問題が出ました。それに対して必ずしも、十分な対策が取れたとはいえませんね。最初の実走テスト時、クルマ自体はできていたんですが、空力とか足回りはまだ完全なものではありませんでした。そのためにマシンバランスがひどく、アンダーやオーバーステアが出たわけです。その後、いろいろ新しいパーツが届いて、それなりの完成度に達すると、バランスの問題はほぼ解決しました。でも同時に、どうしても消せない問題も残ってしまいました。それがブレーキング時に、マシンの挙動が不安定になるということだったわけです。そこから現在に至るまで、解析を進めています。原因としては、足回りの剛性不足とか、空力特性の問題などが考えられます。しかし、風洞データを見ていた限りでは、そんなことは起こりうるはずはありませんでした。サスペンションの剛性テストのデータを見ても、十分に剛性は足りていました。それで解明に、ちょっと時間がかかってしまいましたね」
−もしマシン投入時に、同時に空力などのパッケージも完成していたら、問題点をもっと早く見つけ出せていた?
「そうかもしれません。問題点を見つけ出して特定して、クリアにするという作業に時間がかかりすぎましたからね。当初はブレーキの問題以上に、バランスが悪すぎたため、ちゃんとしたクルマの確認ができなかったですしね。それで、前後のウイングが到着して、バレンシアやヘレスでテストを重ねていったんですが、タイムが伸びず、そこで初めて、これは何だということになった」
−その後2回目のバルセロナテストの最終日には、いい方向に進んでいるようでした。
「そうですね。(原因は)そういうことかというんで、バーレーンに向けていろいろなモノを作り込んでいきました。でも結局時間切れで、思ったほどの速さは取り戻せませんでした」
−開幕戦のアルバートパークは?
「あそこは高速コーナーのほとんどない、基本的にはストップ&ゴーのレイアウトですよね。だからそれなりに軽いウイングを使わないと、なかなかいいペースは出せません。今われわれが抱えている問題点のままでは、ちょっと厳しいかもしれません。とはいえ空力パーツでいくつかよさそうなものがありますので、シルバーストーンのシェイクダウンで確認して、徹夜してでもオーストラリアに間に合わせようと思っています。前回も言いましたが、決して開幕戦もあきらめてません。 これからどんどん速さを追求していきますよ」