フェラーリのキミ・ライコネンは、2007年に自分の才能だけに頼ってはならない――これはゲイリー・アンダーソンからの忠告だ。アンダーソンは今シーズンのチャンピオン候補として、同じチームのフェリペ・マッサの名を上げている。
フェラーリからミハエル・シューマッハーとロス・ブラウンが去ったという事実が、必ずやフェラーリに大打撃を与えると思われているが、元F1デザイナーのアンダーソンは、フェラーリをタイトル候補から外しているのは愚か者だけだと考えている。しかし一般的な意見とは反対に、タイトルを争うのはライコネンではないという。
「チームは大きく変わった」と英クラッシュネットに対して語った54歳のアンダーソン。
「彼らが今後もまとまりを見せられるかというのを見物するのは、なかなか興味深いだろうね。以前のフェラーリは、イタリア人の持つラテン気質のおかげで収集がつかなくなることが頻繁にあった。ロスとミハエル・シューマッハーが加わって、チームを安定させるまではね」
「ミハエルはレースの週末にドライブするだけではなく、すべてに対して全力を傾けられる、熱心なドライバーのひとりだった。彼は一晩よく考え、思いを巡らせ、電話をかけていろいろなことを伝えるような人間だ。ミハエルとロスが去った今、チームには変化が起きている。そのために、キミは悪いタイミングで居合わせているのかもしれない。しばらくの間は彼らも競争力を維持できると思うが、キミ自身はシーズンのスタート時点から素早くやるべきことに取り組み、ミハエルのようにスタッフとの関係を築き上げるようにすべきだろう。ただ、キミがそういった人物かどうかは分からないがね」
アンダーソンは、ライコネンが今シーズン数勝を挙げられるとは思っているものの、ライコネンがチームを選手権のチャレンジャーとしてひとつに纏め上げることについては、疑いを持っている。どちらかといえば、彼の僚友、マッサのほうがシューマッハーの影から抜け出し、その座を掴みとると彼は考えているようだ。
「もしフェラーリが、マシンから降りた後のキミのやり方を聞き入れ、週末だけマシンに乗り込んで仕事をするというドライバーを喜んで受け入れるのであれば、さらにその週末にミハエル・シューマッハーの姿がなければ、彼はチーム内で非常に強い存在になるだろうね」とアンダーソン。
「キミは週末だけマシンに乗り、ただ走らせるだけだ。マシンが速ければ、彼は間違いなく速いだろう。もしそうでなければ、そのマシンでできることを精一杯やるだろう。しかしその後は現場を離れ、何も考えないんだ。すべてはフェラーリが彼にどれだけ期待しているかによるだろうがね」
「マッサが少しでもそのようなキミの体質やフェラーリのやり方について気付くなら、彼はそれを自分のアドバンテージとして活用するだろう。(テストをしていた)2003年、そしてレースに出走した昨シーズンの2年間をフェラーリで過ごしているので、ミハエルの持つ仕事への価値観を学んでいるはずだ。ある週末、例えライコネンが最速のドライバーであったとしても、最終的にトップに立つのはマッサだと思うね」