当初の予定にあったフランスGPではなく、2週間後のドイツGPに新車SA06を投入することを明らかにしたスーパーアグリ。鈴木亜久里代表がさらなる延期の理由とニューマシンの概要について、インディアナポリスで明らかにした。
「ほんとは予定どおりマニ・クールで投入するつもりだったんだけど、3週間ぐらい前にウチが使っているイギリスの風洞が壊れちゃって、その影響で投入時期をドイツに変更することになった。風洞のムービングベルトが切れて、その修理に時間が掛かったもんだから、最後の仕上げに入っていた空力のテストが1週間ぐらいストップしちゃったんだ」と亜久里代表。ただし、それ以外の開発は比較的順調に進んでおり、FIAによるクラッシュテストも無事通過。本拠地に近いシルバーストンでテストを行ってから、2台の新車をドイツGPに投入できる見込みだという。
ちなみに気になる新車の詳細だが、亜久里代表によればモノコック、サスペンション、ギヤボックス、空力のすべてが新しい全くのニューマシンでホンダの全面的な協力の下、サスペンションのジオメトリーも一新。モノコックに関しても大幅な軽量化が図られたことで、これまで苦労していた重量配分の点でも大きな進化が期待できるという。
また、現在の05では暫定措置としてアロウズのギヤボックスを流用していたため、エンジンの搭載位置やギヤボックスとの接合部分にスペーサーをかますなどの制約を強いられていたが、今回は全く新設計となるギヤボックスを採用。現在使用しているカーボンファイバー製のギヤボックスに対して、新型はアルミニウム製のため単体重量では2〜3kg重くなるものの、スペーサー使用する必要が無くなることで、実質的には大幅な軽量化になっているという。
「軽くなったし、空力も進化してる、マシンの基本コンセプトから見直した完全な新車になる」と期待を語る亜久里代表。開幕から苦しい戦いを強いられてきたスーパー・アグリにとって、初めての大きなステップとなることが期待されるだけに、シルバーストンでのシェイクダウンでテスト、そしてドイツGPの結果が注目される。
(Ken Kawakita)