中本がホンダ・レーシング・デベロップメントの中で、エンジニアリング・ディレクターとしての役割から昇格するという人事によって、ウィリスがどのポジションに就くかについては、話し合いが行われてきたが、多くは2002年から働いてきたこのチームを結局は去る事になるのではないかと予想していた。
だがカナダGPを控えて、フライはプレスに対してのコメントの中で、チーム内の人事異動の影響を受けるが、ウィリスには別の役割を担うチャンスがあり、それを受けるかどうかの決定は、おそらく来週末のアメリカGPの後くらいになるだろう、としている。
「現時点では、ジェフはいわゆる“ガーデニング休暇”中だ。その件についてはあと1、2週間は話し合いが続けられるだろう。特に私とジェフとの間での話し合いが必要で、お互いが納得する結論がその後に出るだろう」とフライ。
「だが我々は今この時点でアメリカにおり、彼はイングランドにいる。そのため事態が解決するのは我々が戻ってから後のことになる」
「ジェフが今もチームと契約を交わした被雇用者であることに変わりはない。私が思うに、彼の場合は実際には“マウンテンバイク休暇”で、山を自転車で登ったり下りたりしながら、自分が何をしたいのかについて考えているんじゃないかな。それがひとまず互いに同意したことであり、いずれ両者が合意できる最終的な結論に至るだろう。ただ我々の関係は良好だ。この4年間私はジェフとずっと働いてきて、単なる同僚でなく個人的な友人でもある。2人の間で一致できる結論を得られると私は確信しているよ」
この舞台裏での騒動は、チームの不本意な成績に続いて発生している。イギリスGPではジェンソン・バトンが19位で予選を終えた挙句、本選では早々にリタイヤ、ルーベンス・バリチェロもポイントを獲得できずに、チームとして不甲斐ない結果に終わっている。
だがフライは、チーム内に変化があり、調子は下降気味ではあるものの、士気に問題は無いとしている。
「気持ちを落としている人間は誰もいない」とフライ。
「我々のチームは他のチームに比べれば明らかに歴史が浅い。これまで過ごした時間の中で調子のいいときもあれば悪いときもあったし、いろんな変化はあった。そんな時にがっくりと力を落としてしまうこともできたが、彼らは皆、依然としてやる気マンマンなのだ。私がチームで働き始めて4年が経ったが、物事は段々と難しくなっているよ。決して簡単にはならない」
「つまり我々のグリッド順位が高くなるほど、戦いはますますタフになっているということ。ただタフになっていくだろうということは当初より想定していた。マクラーレンは40年、フェラーリに至っては55年もこのレースを戦い続けている。そんな彼らを破るのは簡単な事ではない。彼らに比べれば我々など小僧も同様、彼等に追いつくために懸命に作業をしなければならない。確かにイギリスGPの結果はサプライズであるし、ある意味ショックではあったが、チームスタッフは皆、その24時間後には通常通り業務をこなしているものだよ」
「奥さん方の井戸端会議同様に騒がしいマスコミの報道があったりや、人員が減ったりしたときには、後ろを振り向いたりせずに、目の前の作業に集中する方がずっと効率的だ。両ドライバーにもあれこれ考えず集中して欲しいね」