F1開幕戦でのルノーの活躍は“ブルー&イエロー”のタイトル奪取への期待を高め、エグゼクティブエンジニアリングディレクターのパット・シモンズと、その配下のデザイナーや開発担当者たちの感じるプレッシャーもそれだけ強くなっている。
シモンズのハードワークは、ジャンカルロ・フィジケラとフェルナンド・アロンソが揃ってメルボルンのポディウムに上がるという好成績によって報われた。しかし、今週末のセパンから始まる残りの18レースでは、それほど楽に勝たせてもらえないことを彼も十分に承知しているようだ。
Q:パット、まず始めに、メルボルンのポディウムではあなたがチームのトロフィーを受け取りましたが、あのときはどんな気持ちでしたか?
パット・シモンズ(以下PS):ポディウムに上がるのは本当に素晴らしい気持ちだったよ。私はF1での25年間を通じて数多くのレースで勝ってきたが、あのバルコニーの上に立って、チームのみんなが興奮して喜んでいるのを眺められたのは、まさに特別な経験だった。あそこに上がって感じたのは、本当の意味での達成感だったよ。私はそれをチーム全体の代表として味わわせてもらった。現場にいた人々と、あの日の成功に大きく貢献したチームの本拠に残った人々の両方を代表してね。
Q:メルボルンでの結果を見て、今年の勢力図のようなものが見えてきましたか? あるいはまだ分からないことがいくつかあるのでしょうか?
PS:まだ答えが出ていないことがたくさんある。過去の経験から言っても、オーストラリアのレースはいくつかの理由で普通とは違うところがあって、すべてのチームの真の実力は見極められなかった。まあ、およその見当はついたと思っているが、もっとクリーンなコンディションの下で確認する必要がある。
もうひとつ、メルボルンでのタイヤのパフォーマンスは極めて良かったが、全てのチームがタイヤに関しては多少なりともコンサバティブなアプローチを採っていた。オーストラリアでは気温も低かったが、今後は、おそらくセパンでも、タイヤマネージメントが一段と重要なファクターになるだろうし、それがチーム力の差を際立たせることになるかもしれない。
Q:マレーシアでのレースでカギを握っているのは何でしょう?
PS:タイヤだね。厳しい条件の下でのタイヤマネージメントが重要なカギになるだろう。それと同時に、今度は各チームが本当に2レースを走りきれるエンジンを作ってきたのかどうかが明らかになる。オーストラリアでの信頼性は高かったが、まだ私たちはそのエンジンのライフの半分しか走らせていないんだ。そしてライフの後半では前半よりもずっとトラブルが起こりやすくなる……。
Q:最後に、あなたはチームにどのようなパフォーマンスを期待していますか?
PS:オーストラリアでの好成績はとても嬉しいものだった。メルボルンはこの車をまともに走らせた4カ所目のサーキットだったが、どのサーキットでも私たちはすぐにセットアップのスイートスポットを見つけることができた。だからその点では自信がある。ただ、先ほども話したように、タイヤのマネージメントと温度はグランプリレーシングの最も重要な要素になりつつあり、それによって全体の大きな流れが変わる可能性もある。現時点ではパフォーマンスに関してはいくつかのチームと拮抗していると思う。おそらくほんのちょっとしたことで、振り子は一方から他方へと大きく振れることになるだろう。