様々な問題に揺れ続ける昨今のF1だが、GPを誘致したいという国はいまも後を絶たない。今度はオランダとギリシャが開催候補地に名乗りを挙げた。
オランダではF1再誘致に向けて、伝説のザントフールトの改装ではなく、ロッテルダム中心街でのストリートイベントを計画している。今年はクリスチャン・アルバース、ロバート・ドーンボス、ニッキー・パストレリらがF1に参加する中、GPの再誘致を目指して、昨年ロンドンで開かれたようなストリートイベントを夏休み中に開催する予定でいる。
ロッテルダムのアルゲメン・ダグブラッド紙によると、誘致委員会はハンガリーGPとトルコGPの間の8月7日、市中心街のクールシンゲルを中心とするストリートでイベントを開催する計画だという。コースは、ホフ広場、ゴウドセシンゲル、ブラークを抜け、クールシンゲルに戻る3kmを予定している。レースとしては距離的に短いが、誘致委員会では、英スポーツカウンシルからスポーツ都市の認定を受けるための推進事業のひとつとしても、F1を呼び物にしたい考えだ。
現在、F1で正ドライバーを務める唯一のオランダ人であるアルバースは、過日にスポンサーへの御礼としてアムステルダムのストリートをドライブしたのに続き、8月のストリートイベントにも当然参加することになるだろう。アルバースの所属するミナルディチーム自体、オランダ人の間でのF1の浸透に大きな役割を果たしている。だが、委員会によると、地元では8月のイベントに対する期待こそ高まっているものの、年に1度オランダでモナコのようなF1イベントを開催することには気乗り薄だと言う。
プロジェクトリーダーのヘルマン・ファーンホルト氏は次のように述べる。「F1GPをここで開催するという計画が数年前から持ち上がっている。しかし、街中でF1レースを開催することはほぼ不可能だ。イベントの準備からレース本番までの間、コースになっている道路をすべて封鎖しなければならない。しかし、それでは街が混乱してしまう。私たちが計画しているようなデモンストレーションならうまくいくと考えている。街の中心地をF1マシンが走れば、ものすごい音がするだろうね」
一方、ギリシャは、F1誘致のために、オランダに比べて定石通りの戦略を立てている。ギリシャでは、首都アテネにF1GPが開けるサーキットを建設する考えだ。
ギリシャは、政治的に対立しているトルコが今シーズンからF1カレンダー入りしたことに刺激されているのは間違いなく、GP誘致に向けて、サーキット建設予定地を決定した。
観光大臣のディミトリス・アブラモポーロス氏は9日、「サーキット予定地はビオティアに決定した」と発表した。それ以外の詳しいことについては今後発表されるようだ。ビオティアはアテネの北約100kmのところにある。
もっとも、どちらの国がカレンダー入りするにせよ、少なくとも2、3年先の話になる。ギリシャの場合、アテネオリンピックの施設建設で見られた工期の遅れを考えれば、さらに先のことにもなりかねない。昨年のバーレーンと中国に続き、今シーズンからトルコがカレンダー入りを果たし、年間レース数は史上最高の19戦となったが、いまもF1誘致に名乗りをあげている国はいくつかある。
メキシコと、昨今F1熱が急上昇中のインドとロシアのカレンダー入りについては、現在検討中となっている。もっとも、これ以上年間レース数が増える場合は、移動の負担を軽減するべく、各チームがテスト削減に同意する必要が出てくるだろう。