「アルボンを援護してくれ」ウイリアムズがチームプレーでハジャーの追い抜きを阻止【F1第5戦無線レビュー(2)】
2025年4月25日
2025年F1第5戦サウジアラビアGP。レース後半、アイザック・ハジャーは前を走るアレクサンダー・アルボンを追っていた。しかしアルボンの前には僚友カルロス・サインツがおり、ハジャーは1対2の争いを強いられることになった。サウジアラビアGP後半を無線とともに振り返る。
────────────────────
レース中盤の25周目、ピットインを遅らせたシャルル・ルクレール(フェラーリ)が暫定首位に立っていた。後方では、リアム・ローソン(レーシングブルズ)に抜かれた直後のガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)がラインを変え、背後のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は間一髪クラッシュを免れた。
25周目
アロンソ:ブレーキング中に動いたね。すごく近かった。チェックしてくれ。
アロンソはボルトレートのマネージメントを担当しており、ボルトレートはボスを撃墜しかけたことになる。以前のFIA会見でアロンソは、「コース上でバトルになったら、僕が前に出る契約になっている」と冗談を言っていた。
クリス・クローニン(→アロンソ):クルマは大丈夫だ。
リバース戦略のハードタイヤで10番グリッドからスタートしたランド・ノリス(マクラーレン)が、30周目に首位に立った。すぐ後ろに実質ラップリーダーの僚友オスカー・ピアストリがつけている。

32周目
トム・スタラード:ランドはこのスティントをできるだけ引っ張って、プランCを考えているようだ。
ピアストリ:それは僕には理想的じゃないね。ダーティエアの影響が大きすぎる。
ペースが落ちて、実質2番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に迫られるのを、ピアストリは危惧していた。
ノリスはハードタイヤのオーバーヒートに苦しみ、34周目にピットイン。5番手に後退した。
ウィル・ジョゼフ(ピットアウトするノリスに):前後はクリアだ。コースに復帰したら、まずはタイヤを労るんだ。特に右フロントだ。
ブライアン・ボッツィ(→ルクレール):ノリスは新品ミディアムで5秒後ろだ。
直後の38周目、ルクレールがジョージ・ラッセル(メルセデス)を抜いて3番手、表彰台圏内に入った。
ボッツィ:よくやった、チャールズ。
ルクレール:ありがとう、ブライアン。
39周目
ピアストリ:ターン10のバルコニーで赤いランプが点灯してる。赤旗みたいで、イラつくんだけど。
スタラード:わかった。レポートしておく。
ピアストリの車載映像を見ると、確かに四角形の赤い灯りが点滅し、赤旗に見えなくもない。
背後では10番手のアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)がアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)との差を詰めていた。アルボンの前、8番手を行くカルロス・サインツ(ウイリアムズ)に指示が飛んだ。
ガエタン・イエゴ:アジャが後ろから迫っている。
サインツ:アレックスは抜かれないよ。
イエゴ:アレックスを援護するんだ。ふたりの差は2秒だ。
ピエール・アムラン:イザック、プッシュだ。8番手のサインツまで行けるぞ。サインツはアルボンにDRSを使わせようとしている。その前に抜いてしまえ。
アジャ:わかってる。大丈夫だ。
しかし1秒以内の間隔で周回を重ねるウイリアムズ2台を、アジャは攻略できず。サインツとアルボンは8、9位のダブル入賞を達成した。

ルクレールに続いて、ラッセルは41周目にはルイス・ハミルトン(フェラーリ)にも抜かれて5番手に後退した。
41周目
ラッセル:(タイヤ性能が)崖に来たみたいだ。
マーカス・ダドリー:後ろは心配するな。
ラッセル:左フロントにグレイニングが出ている。

ラッセルの後ろはチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリだ。
ランス・ストロール(アストンマーティン)とボルトレートが16番手を争う。その後ろにピアストリが迫るが、バトル真っ最中の2台は譲る余裕がない。
ピアストリ:譲ってくれないと困るんだよね。
ゲイリー・ギャノン(→ストロール):青旗、後ろからピアストリだ。
ヨルン・ベッカー(→ボルトレート):ストロールの後ろからピアストリが迫ってる。青旗が出ているぞ。

ようやく譲ったストロールは、ピアストリが周回遅れにするのに乗じてボルトレートを抜いていった。
48周目
ラッセル:左フロントが全然ダメだ。筋がイン側に見える。
ダドリー:データには何も出ていない。ブリスターだと思うが、影響はないはずだ。
この週末のハースは、前戦までの速さが発揮できず、オリバー・ベアマンが13番手、エステバン・オコンが14番手を走っていた。
オコン:ストレートでバイブレーションがひどいんだけど。何も問題ないのか? どんどん酷くなっている。
ローラ・ミュラー:大丈夫。気にしていない。
オコン:僕は気にしているよ!
最後はフェルスタッペンとの差が3秒以内まで縮まりながらも、ピアストリが今季3勝目。ドライバーズ選手権でも暫定トップに立った。ルクレールは5戦目にして、今季初表彰台に上がった。
ピアストリ:スタート直後の展開は予想よりタフだったけど、でも素晴らしかった。クルマは最高だったよ。この3連戦は大満足だ。この勢いを続けていこう。みんな、ありがとう。
フェルスタッペン:やれることはすべてやったよ。今回は、こんなところかな。ポジティブな面がいっぱいあった週末だった。グッジョブだ。
ルクレール:すごくタフなレースだったけど、みんなよくやってくれた。3位に満足はしていない。でも素晴らしいレースだった。
アムラン:P10だ。よくやった。
アジャ:ふたりがチームメイトじゃなかったら、8位だったよ。
アムラン:わかっている。ペースは僕らが上だった。いい終わり方だ。
ウイリアムズのチームプレイが功を奏し、レーシングブルズは10位入賞が精一杯だった。
(Text : Kunio Shibata)
関連ニュース
4/18(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
4/19(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
4/20(日) | 決勝 | 結果 / レポート |


1位 | オスカー・ピアストリ | 99 |
2位 | ランド・ノリス | 89 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 87 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 73 |
5位 | シャルル・ルクレール | 47 |
6位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 38 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 31 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 20 |
9位 | エステバン・オコン | 14 |
10位 | ランス・ストロール | 10 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 188 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 111 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 89 |
4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 78 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 25 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 20 |
7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 10 |
8位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 8 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 6 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 6 |

