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国内ダブル王者の坪井翔がF1日本GPを見学「ここで戦いたいという気持ちが一層強くなった」
2025年4月8日
3日間合計で26万6000人を動員した2025年F1第3戦日本GP。今回も会場には国内レースで活躍するドライバーが多数来場していたが、2024年10月よりハースがTOYOTA GAZOO Racing(TGR)と業務提携を結んだこともあり、パドックにはこれまで以上にTGR系ドライバーの姿が見られた。2024年に全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)、スーパーGT GT500クラスの国内二冠を獲得した坪井翔も、3日間にわたってF1を見学した。
坪井は鈴鹿サーキット場内でのトークショーやイベントに出演したほか、フリー走行2回目(FP2)では場内放送の解説も担当している。
さらに金曜日にはハースのホスピタリティを訪れてFP1をピット内で見学したほか、一緒に来ていた2024年KYOJO CUPチャンピオンの斎藤愛未夫人とともにF1パドックをくまなく見て回っていた。
坪井は直近で2022年に鈴鹿に来ており、当時スーパーGTでチームメイトだったジュリアーノ・アレジのつながりでパドックに入る機会があったそうだが、ピット内の見学はもちろん、細かいところまで見るのは初めてだったとのこと。
金曜日のFP1終了時点では「そもそもF1の鈴鹿は、僕たちがいつも来ている鈴鹿とは違うので、違和感を感じながらもF1の凄さを感じています」と、少々圧倒されていた様子だったが、そのなかでもSFと比べて新たな発見もあったようだ。
「無線も少し聞かせていただけて『こう言うふうにやっているんだ』というのがわかって、また違った視点でF1を観ることができました。SFと比べると、やっぱりデータの量は圧倒的に違って、それはそれで興味深くて、見ていて面白かったです!」
「タイヤコンパウンドも複数種類あるので、細かい内容は違うと思いますけど、基本的なフリー走行の流れはSFとそんなに変わるものではないなと思いました。本当にいろいろと勉強できたものがあって、非常に有意義な時間でした。F1をこういう視点から見れる機会はなかったので、こういう機会を頂けて感謝したいですね」
一方、昨年のKYOJO CUPチャンピオンドライバーである斎藤愛未は、今回が初めてのF1パドック。足を踏み入れた瞬間から、世界最高峰レースの雰囲気に圧倒されていた様子で「緊張して言葉も出なくて息もできないくらい……レースよりも緊張しています。全部が凄すぎて、慣れているはずの鈴鹿なんですけど、(F1パドックは)別の国に感じて、初めて来たような感覚です。(FP1は)ピットの中で見させていただいて、まばたきもできないくらい……凄かったです!」と語っていた。
今や日本の4輪二大カテゴリーのチャンピオンとして国内レースを引っ張っていく存在でもある坪井。特にSFでは今季からフォーミュラ・レーシング・ドライバー・アソシエーション(FRDA)の会長になったこともあり、F1パドックにあるものを細かく見て、国内レースにも取り入れるものはないかと方法を探っていた。
「(F1パドックの凄さを感じた点について)やっぱりパドックのレイアウトですね。SFとかGT(のパドック)を知っているので、まったく別物。なんか『鈴鹿じゃないみたい』で……チームごとにホスピタリティテントもあって、クルマ・チーム含めて規模が大きい。なかなかこれを日本で同じようにするのは難しいとは思うんですけど……とにかく次元が違いますね」と坪井。
「うまく表現するのは難しいですけど……価値の高さをパドックで証明している感がすごくて、(F1では)ガレージがただのガレージではなく、(日本も)ここまで行かないにしても、よりもう少しこだわっていくと、価値が出てくるのかなと思います。そう意味では、真似できるところもあると思うので、そういうところを参考にして、より良いレースにできて行きたいです」

決勝レースはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、ランド・ノリス(マクラーレン)、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)の3台が限界ギリギリの攻防戦を展開。順位の変動はなかったが、フェルスタッペンのミスのない走りをみて、かなり刺激を受けた様子だった。
「世界一のレースなので、もちろんレベルは高いんですけど、今回は特にフェルスタッペン選手の予選・決勝の強さというのが、ドライバーだからこそ分かる技術力、メンタル力、チーム力というのを感じたので……『世界一は次元が違うな』と思いました。より自分がまだまだやらなきゃいけないことが、ある意味で明確に見えたような気がします」と坪井。
国内でダブルタイトルを獲得して、周囲からはF1へのチャンスを掴んでほしいと熱望する声も上がっており、本人も「いろいろなチャンスが出てきた時に、それを掴めるようにしたいし、そのためにも国内で結果を出していきたい」と語っていた。
だが、この3日間を通して、それが“より強い想い”に変わったようだ。
「ひとりのドライバーとして来て良かったなという週末になりましたし、実際に(F1を)見たことによって、今までは夢の夢というかF1が遠い存在だったのですけど、今回は割と身近に感じられたところもありました。得られるものが多かった週末でした」
「“いつかはこの舞台で戦うこと”を夢見て、ずっとレースしてきたところもあるので、夢ではなく現実にしていきたいと思います。本当にいろいろことを吸収させてもらいましたし、このF1ドライバーたちのなかで戦ってみたいなという気持ちは、より一層強くなりました」
すでに開幕しているSFでは第1戦で4位、第2戦で2位に入る堅実な戦いぶりでランキング2番手につけており、オフシーズンの公式テストで好調な走りをみせていたスーパーGTは4月12〜13日に開幕を迎える。
“夢の舞台”にまた一歩近づくために、坪井は決意を新たにして鈴鹿サーキットを後にした。


(Text:Tomohiro Yoshita)
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4/11(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
4/12(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
4/13(日) | 決勝 | 24:00〜 |


1位 | ランド・ノリス | 62 |
2位 | マックス・フェルスタッペン | 61 |
3位 | オスカー・ピアストリ | 49 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 45 |
5位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 30 |
6位 | シャルル・ルクレール | 20 |
7位 | アレクサンダー・アルボン | 18 |
8位 | ルイス・ハミルトン | 15 |
9位 | エステバン・オコン | 10 |
10位 | ランス・ストロール | 10 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 111 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 75 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 61 |
4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 35 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 19 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 15 |
7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 10 |
8位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 7 |
9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 6 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 0 |

