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「伝統を受け継ぎつつ常に前に」。2025年日本GPに向け佐藤琢磨と市川團十郎が語ったF1と歌舞伎の共通点

2024年11月26日

 11月24日、東京都中央区銀座にある歌舞伎座にて『FORMULA 1 HEINEKEN SILVER LAS VEGAS GRAND PRIX 2024パブリックビューイング』が開催され、HRCエグゼクティブアドバイザーの佐藤琢磨と、2025年のF1日本グランプリアンバサダーに就任した歌舞伎俳優の市川團十郎による対談が行われ、團十郎と2017年に癌で亡くなったテレビアナウンサーの小林麻央さんの息子である市川新之助(11歳)とともに舞台に登壇してF1と歌舞伎についてのトークショー、そしてとラスベガスGPのパブリックビューイングが行われた。


 日本独自の伝統芸能である歌舞伎と、世界最高峰のモータースポーツであるF1という異色のコラボレーションとなったこのイベントだが、2025年に開催を控えているF1日本グランプリを盛り上げるプレイベントの一環として実施されたものだ。また、このイベント開催と同日に、13代目市川團十郎が2025シーズンF1日本グランプリの公式アンバサダーの就任が発表された。

「伝統を受け継ぎつつ常に前に」。2025年日本GP鈴鹿に向けて佐藤琢磨と市川團十郎が舞台で語ったF1と歌舞伎の共通点
舞台の両脇を2台のF1マシンがかためた。左はアルファタウリAT02、右はフェラーリSF16-H


 歌舞伎座パブリックビューイングには、のべ6300人ものファンが応募したと発表され、そのうち当選したのは1800人。老若男女のF1ファンがそれぞれ応援しているチームのウェアを身に纏いながら歌舞伎座に訪れた。


 ゲストの佐藤琢磨が舞台の“スッポン”と呼ばれる場所から登場すると、F1オフィシャルメインテーマをBGMに市川團十郎が舞台上に登場。『延年之舞』を披露した。来場者のほとんどが歌舞伎座に来たのが初めてという人であったため、その迫力ある生の演技に観客の目は釘付けに。

「伝統を受け継ぎつつ常に前に」。2025年日本GP鈴鹿に向けて佐藤琢磨と市川團十郎が舞台で語ったF1と歌舞伎の共通点
イベント開始とほぼ同時に延年之舞を披露する市川團十郎

「伝統を受け継ぎつつ常に前に」。2025年日本GP鈴鹿に向けて佐藤琢磨と市川團十郎が舞台で語ったF1と歌舞伎の共通点
F1日本GP公式アンバサダー委嘱式では、F1大会組織委員会より証書を渡された


 そして、市川團十郎がF1日本グランプリの公式アンバサダー委嘱式が行われ、委嘱状を日本グランプリ大会組織委員長より授与された後、佐藤琢磨、市川團十郎、そして市川新之助によるトークショーが行われた。


 琢磨と團十郎はともに1977年生まれということだが、團十郎は12代目團十郎(父)がちょうどアイルトン・セナが現役だった時代のF1を好きだったということもあり、一緒にグランプリを見ていたというが、サーキットでレースを観戦したことはまだないという。

「伝統を受け継ぎつつ常に前に」。2025年日本GP鈴鹿に向けて佐藤琢磨と市川團十郎が舞台で語ったF1と歌舞伎の共通点
トークショーでは、「12代目(父)がF1好きで。子どもの時には何が面白いのかわからなかったけども、徐々に面白さがわかってきました。細かいことがわかればわかるほど奥深い世界ですね」と語る


 それに琢磨は「舞台って、生でお客さんに観てもらうと全然違うじゃないですか。それはF1も一緒で、特に臨場感は実際にサーキットへ行くと、オンラインやパソコンの画面で見るより何十倍も凄いと思います」と語る。


 歌舞伎は400年の歴史がある一方で、F1は2025年で75周年を迎えるなど、“伝統と技術の結晶”という点で似ているものがあることについて、團十郎は「どんな時代にも守っていくものと、新しく時代にあわせて作られていくものは一緒なんだと感じました」と、歌舞伎とF1の共通点を独自の目線でこう話す。


「子どもの時に見ていたマシンも、これで完璧だと思いながら見ていましたが、改めて見ると(舞台に展示されている2021年のマシン、アルファタウリAT02を見ながら)、時代の進化を感じました。やはり、(歌舞伎も)伝統を守ることは我々一番大事にしておりますが、そればかりではならぬということも忘れてはいけない。常に前に進もうとする精神が大事だと思っています」


 それを聞いた琢磨は、モータースポーツにおいても「伝統が代々受け継がれていく世界、時代に併せて変化するものはある」と付け加える。


「まさにF1も同じですね。F1も技術において、これでいいだろうと思った時点で停滞を意味します。ですから、常に前へと進んでいかねばならない。ラスト1%のしのぎを争うのがF1という世界ですね。僕がレースをやっていた頃は年間17戦だったのですが、今は24戦で争われていて、12月までレースをしなければならない。ドライバーも時差との戦い、スタッフも大変だと思います」


 團十郎は、「メンタルを維持するのは大変だと思うけど、落ち込んだ時にはどうやって回復するのでしょうか。どうやって安定したパフォーマンスを出し続けるのでしょうか?」という質問を受け、琢磨はこう答えた。


「集中力をずっと維持し続けるのは物理的に無理なんですよね。我々がプロたらしめるものとして、どこかで休む。その休ませ方がとても大切だと思います。私が乗るインディカーでも380km/hで走って、そのままコーナーに飛び込むわけですが、我々は速度が上がっていくほどにリラックスしていくんです。直線ではアクセルを踏むしかできませんから、その間にリラックスし、次のコーナーに入った時には一気に集中力を上げていく。そのメリハリがあるから、2時間や3時間でもハイパフォーマンスを維持できています」


 40分間におよぶトークショーが終了後、F1ラスベガスグランプリを実際に観戦。その後、市川團十郎と市川新之助のふたりによるインタビューも行われたが、團十郎は改めてF1というスポーツの面白さや刺激をさっそく感じたという。


「お客様もF1が好きな人が多いので、(レース中の)歓声や拍手のタイミングが違う点など勉強になります。研ぎ澄まされていく技術のなかで戦う人々の様子を肌で感じ、自身の芸事への向き合い方や磨き方など、そういったことへの刺激に現時点でもなっているので、2025年日本グランプリが楽しみですね」


 2025年F1日本グランプリは鈴鹿サーキットで4月4日(金)〜6日(日)に開催される。市川團十郎はこれから公式アンバサダーとして、日本グランプリの魅力を発信していきながら、決勝日当日には実際に歌舞伎を行う計画も進行中だ。当日、鈴鹿サーキットのコース上で一体どんな歌舞伎が見られるか。そして、公式アンバサダーとしての團十郎の活躍にも期待したい。

「伝統を受け継ぎつつ常に前に」。2025年日本GP鈴鹿に向けて佐藤琢磨と市川團十郎が舞台で語ったF1と歌舞伎の共通点
左から市川團十郎、市川新之助、そして佐藤琢磨と記念撮影



(autosport web)


レース

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フリー走行2回目 結果 / レポート
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11/24(日) 決勝 結果 / レポート


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