中東で開催される初めてのF1グランプリとなったバーレーンGPで、世界王者ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)が開幕からの連勝を続けた。予選でポールポジションを獲得したシューマッハは、スタートからフィニッシュまでレースを支配し、自身通算73勝目、フェラーリの170勝目を挙げた。2位にはルーベンス・バリチェロ(フェラーリ)が続いた。2週間前のマレーシアGPで初めて表彰台に上がったジェンソン・バトン(ラッキーストライクB・A・Rホンダ)は、この記念すべきバーレーンGPでも再び3位に入った。ミシュランドライバーは、このバトンを含めて4チーム6人がポイントを獲得した。
自己ベストのレース結果を挙げた佐藤と、何とかポイントを獲得したラルフ・シューマッハは、よく挽回したといえるだろう。2人はレース序盤のターン2で接触し、シューマッハは修理のためにピットに入るはめになった。佐藤もその後、縁石に乗り上げてフロントウイングを損傷し、予定より早めのピットストップをしいられた。アロンソもレースで光るパフォーマンスを見せた。予選ではブレーキトラブルから下位グリッドに沈み、レースではオープニングラップの接触でフロントウイング交換のために余分なピットストップをしたが、そこからよく追い上げた。
ルーキーのクリスチャン・クリエン(ジャガー・レーシング)は序盤にスピンしてコースアウトし、結局14位だった。しかし最大の失望を味わったのは、ミシュランパートナーのマクラーレン陣営だろう。昨年最終戦までチャンピオン争いをして、今年は期待のかかるキミ・ライコネンだが、今週末は技術的トラブルの連続に苦しめられた。金曜日のトラブルによりエンジン換装せざるをえなかったため、予選10グリッド降格のルールが自動的に適用される。そこで戦略的な理由から予選アタックを放棄し、最後尾スタートを選んだ。ところがレースではエンジンから大きく出火してリタイヤ。巻き返しはならなかった。チームメイトのデビッド・クルサードはポイント圏内をずっと走っていたが、終盤に技術的トラブルで戦列を離れた。このレースでリタイヤは3人だけだったが、そのうち2人がマクラーレンという結果だった。
ピエール・デュパスキエ(ミシュラン・モータースポーツディレクター)
「いくつかの点で満足のいく週末でした。まず、初めてのグランプリをこれほど効率よく運営されたバーレーン当局を賞賛したいと思います。イベントは大成功でした。また、今日は多くのミシュランドライバーが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。ファン‐パブロ・モントーヤは不運にも表彰台を逃しましたが、ジェンソン・バトン、ヤルノ・トゥルーリ、佐藤琢磨、フェルナンド・アロンソ、ラルフ・シューマッハはとてもいいレースをしました。おたがい追い抜きシーンも見応えがありましたね。後方から追い上げた一部のドライバーも、先頭の車とおなじラップタイムで走ることができました。ジェンソン・バトンが2戦連続でトップ3に入ったのはうれしいですね。ミシュランタイヤにスイッチして以来、B・A・Rホンダが常にトップ争いをできるチームになったのは特筆すべきことです」
パスカル・バスロン(ミシュラン・F1プログラムマネージャー)
「こういう未経験の場所にむけて準備をするのは難しいのですが、私たちの3種類のドライ用タイヤはレースで充分なパフォーマンスを発揮しました。週末を通じて速く、安定していました。摩耗によるトラブルは起きていません」