マレーシアのセパンで開催された今シーズン第2戦は、世界王者ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)がポール・トゥ・フィニッシュで開幕から2連勝した。シューマッハはスタートから首位に立ったが、ファン‐パブロ・モントーヤ(BMWウイリアムズF1チーム)が背後からプレッシャーをかけつづけたため、そのグランプリ通算72勝目は決して楽ではなかった。モントーヤはシューマッハを追い上げる過程で、レース中のファステストラップを記録した。しかし終盤は2位を確実にするため、ペースを緩めた。3位にはジェンソン・バトン(ラッキーストライクB・A・Rホンダ)が入り、ミシュランにとって好成績のレースを締め括った。
バトンは通算68戦目で初表彰台に上がったが、その道のりは険しかった。序盤はヤルノ・トゥルーリ(マイルドセブン・ルノーF1チーム)と熾烈な戦いを繰り広げ、後半はキミ・ライコネン(ウェスト・マクラーレン・メルセデス)の追い上げにあった。しかし最後はライコネンがギアボックス・トラブルでリタイヤしたため、バトンは楽に表彰台を得た。
「初めて表彰台に上がった気持ちは、言葉では表せないよ。ここまで長かった。シーズン2戦目でこの素晴らしい結果をつかめてよかった。チームと、ホンダと、すべてのパートナーのためによろこんでいる」
ルーベンス・バリチェロ(フェラーリ)は4位で、5位にトゥルーリ、6位デビッド・クルサード(ウェスト・マクラーレン・メルセデス)、7位フェルナンド・アロンソ(マイルドセブン・ルノーF1チーム)、8位フェリペ・マッサ(ザウバー)と続いた。アロンソは予選でスピンしたため、最後列からのスタートとなり、追い上げつづけてこの順位だった。
「昨日失敗したにもかかわらず、2ポイント獲れてよかった。もちろん予選のあとはがっくりきたけど、それを考えればこれはかなりいい結果だ。ただ、作戦は必ずしもうまくいかなかったね。もう少し上でフィニッシュできるはずだった」
マーク・ウェバー(ジャガー・レーシング)はF1キャリア初のフロントローに就いたが、レースは散々だった。スタートに失敗して集団に飲みこまれ、1周目で10位まで後退。そこから徐々に追い上げたものの、右リヤタイヤを損傷して、交換のためにピットストップ。そのさいにピットレーン速度違反を犯してペナルティを受け、ほとんど最後尾まで落ちた。そして最後はスピンしてグラベルにつかまり、レースを終えた。
ラルフ・シューマッハ(BMWウイリアムズF1チーム)と佐藤琢磨(ラッキーストライクB・A・Rホンダ)もポイントに手が届かなかった。シューマッハは56周レースの中間点でエンジントラブルからストップ。佐藤も8位を走行しながら、残り3周というところで同じくエンジントラブルでリタイヤした。
その他のミシュラン勢は完走した。クリスチアーノ・ダ・マッタ(パナソニック・トヨタ・レーシング)とオリビエ・パニス(パナソニック・トヨタ・レーシング)はそれぞれ9位と12位。新人のクリスチャン・クリエン(ジャガー・レーシング)は10位で、開幕から連続完走を果たした。
パスカル・バセロン
(ミシュラン・F1プログラムマネージャー)
「レース中の気温は思っていたより上がらなかったが、ドライ用の2つのコンパウンドの選択が当たり、週末を通しての安定した走りにつながった。マーク・ウエーバーの車の右リヤタイヤの破損原因は、明らかに他車との接触によるものだった。」
ピエール・デュパスキエ
(ミシュラン・モータースポーツディレクター)
「今日はファン‐パブロ・モントーヤとジェンソン・バトンがよく頑張ってくれました。どちらも確実なレース運びでした。ファン‐パブロは首位を追いかけてレース中のファステストラップを記録しましたが、それは昨年より2秒以上速いタイムでした。バトンは最初から最後まで厳しいプレッシャーに耐えつづけましたし、その意味で価値あるF1初表彰台です。今回のレースで全体は接戦であることがわかりました。パートナーの4チームがポイントを獲得したのもうれしいことです」