トヨタ・フォーミュラワン・チームは、クラッシュネットの取材に対して、モトGP世界チャンピオンのバレンティノ・ロッシにF1テストの機会を与える「予定はない」と答えた。
先日のオーストラリアGPのパドックにロッシの姿が見られたことで、このイタリアのスーパースターのF1転向に関するうわさが再燃した。彼はパドック内のいくつかのチームを訪れ、バーニー・エクレストンやミハエル・シューマッハーを含むF1コミュニティの主要メンバーと会談した。
今年からロッシはヤマハのライダーとしてモトGPに参戦することになっており、グランプリの週末には彼がヤマハとの関係が深いトヨタでテストドライブを行うという説がまことしやかに囁かれた。この両社のように強い結び付きがあれば、一般にこうした“クロスオーバー”の妨げになる契約上の制約もクリアできるのではないかというのが、そうしたうわさの根拠だった。
しかし、トヨタはロッシがチームを訪問したことは認める一方、彼がトヨタの上層部とは接触しておらず、したがってF1テストに関する話し合いも一切行われていないと明言した。
「バレンティノは先週末メルボルンでいくつかのF1チームのガレージを訪問した。私の認識が間違っていないとすれば、彼が訪ねたのはフェラーリ、ウイリアムズ、そしてトヨタだった」とトヨタのスポークスマンは述べた。「トヨタとヤマハの間に存在する関係から、一部のジャーナリストはバレンティノが私たちのF1カーをテストする計画があると報道した。しかし、実際にはバレンティノはトヨタの上層部の誰とも会っておらず、トヨタとヤマハの間でそのような案が検討されたこともない」
カートでモータースポーツのキャリアを開始したロッシは、熱心な4輪ファンとしても知られ、最近では何度かトップレベルのラリーにも挑戦している。また2000年から2003年まではホンダのライダーだったため、BARホンダでのF1テストのうわさが流れたこともあり、チーム代表のデイビッド・リチャーズもそのアイデアに前向きな姿勢を公然と示していたが、結局それも実現はしなかった。
さらに昨シーズン終盤(まだヤマハとの契約が決まる以前)には、フェラーリの社長ルカ・モンテゼモロが彼を“イタリアの英雄”としてフェラーリF1カーに乗せたいと公言して話題になった。このオファーはフェラーリと同じくマールボロが支援するドゥカティへの移籍を絡めたものと考えられていたが、その後、ロッシはゴロワーズをスポンサーとするヤマハと契約を結び、フェラーリをドライブする可能性はほとんどなくなった。
トヨタもロッシにテストの機会を与える可能性を完全に否定してはいないものの、4月18日にはモトGPのシーズンが開幕することを考えると、彼のF1デビューはいずれにしてもかなり先の話になりそうだ。
「PRという観点から言えば、(ロッシがトヨタF1をテストすることは)すばらしい機会になりうることは確かだ。ただ、今のところは、そうした場を設ける計画はない」と、トヨタのスポークスマンは述べた。