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F1タイヤブランケット廃止案に対するハミルトンの懸念は“難コンディション下でのテスト”によるものだとピレリが主張

2023年3月3日

 F1にタイヤを供給するピレリは、F1がタイヤブランケットの使用を禁止することについてルイス・ハミルトン(メルセデス)が危険だと警告していることを「理解できる」としながらも、ハミルトンの発言にはいくつか背景があると明かした。


 F1のサステナビリティへの取り組みの一環として、ピレリはブランケットウォーマーが不要なタイヤを製造しているところで、2024年の導入が検討されている。タイヤブランケットは30年以上にわたってF1に不可欠なものであり、禁止されればチームやドライバーたちにとっては大きな変化となる。


 これは複雑な進化であり、ピレリの開発作業は現在も進行中だ。しかし今年初めにヘレスとポール・リカールで行われたピレリの開発テストで、プロトタイプタイヤを試用する機会のあったハミルトンは、タイヤの第一印象に満足していなかった。


「これは危険だと思う」とハミルトンは先週末にバーレーンでこの件についての質問に答えた。


「ブランケットなしでテストをしたけれど、どこかの時点でインシデントが起きるだろう。安全性の面から、これは誤った決定だと思う」


「タイヤの性能を発揮させるために、数周走る必要がある。ブランケットをなくせばいっそうサステナブルで、いっそうグリーンになるというのがそもそもの議論だが、実際にはタイヤの温度を上げるためにさらに燃料を消費してしまう」


「さらに懸念しているのは、コースに出て行くときだ。マシンがよく滑り、挙動が安定しない。そこにタイヤがフル性能を発揮しているマシンが来たら、簡単に衝突してしまうかもしれない。こうしたことを考えると、意味のない施策だ」

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2023年F1バーレーンテスト2日目 ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 ピレリのレーシングマネージャーを務めるマリオ・イゾラは、ハミルトンの意見と懸念に耳を傾け、利点がないわけではないと認めているが、ハミルトンがタイヤを試した時は過酷なコンディションであったことと、タイヤがまだ開発段階のものであったことを強調した。


「ルイスは2月初めにポール・リカールでタイヤテストを行った。その時期はかなり冷え込んだ。そしてテストしたタイヤが、ブランケットの使用なしで認証を待つ最終形態や最終版にないことは明らかだった」とイゾラは説明した。


「コメントは理解できる。なぜならドライバーたちは、程度の差はあれ、安定したグリップを発揮するタイヤを履いてピットレーンを出ることに慣れているからだ。だから彼らにとってもまったく異なるアプローチだった」


「アウトラップで他のクルマより10秒遅かったら、速度差が生じているということなので、検討しなければならないという指摘は理解できる。ルイスのコメントもこれに関連しているのだろうと思う。それは公平なコメントだ」


 F1は、タイヤブランケットが不要なウエットタイヤを今年の第6戦エミリア・ロマーニャGP(イモラ)から導入することを承認している。タイヤをテストしたドライバーたちからの肯定的なフィードバックを受け、妥当性が確認された。イゾラは、6つのコンパウンドでブランケット不要タイヤを製造する基本的なプロセスにおいて、これを第一の節目としている。


「次のステップは、今年中にブランケットなしで動作するインターミディエイトタイヤの製造に成功することだ」とイゾラは語った。


「それと同時に、スリックタイヤの開発計画もある」


「2024年にブランケット廃止を達成するために、ブランケット不要のタイヤの開発に通常より数日多い日程を割いてもらえるよう要請した。そのため先は長い。まだ最初のステップだ。これは技術上の大きな挑戦になる。なぜならコンストラクションとすべてのコンパウンドを完全に再設計しなければならないからだ」

マリオ・イゾラ(ピレリ レーシングマネージャー)
2023年F1バーレーンテスト1日目 マリオ・イゾラ(ピレリ レーシングマネージャー)


 FIA F2をはじめ、ブランケットを使わない他の選手権について指摘する人たちに対し、イゾラはF1とその直下シリーズとは比較にならないとすぐに反論した。


「よくある質問としては、F2ではブランケットが供給されていないのに、F1はどういう違いがあるのかというものがある」


「違いは1周あたり10秒だ。つまりF1マシンがタイヤに入れることができるエネルギーに置き換えたら、まったく違う世界の話になる」


「今、適切なレベルにあるか、それともブランケットなしでショーに影響を及ぼさずに機能するタイヤの開発にもっと時間をかける必要があるか、総合的に判断していく」


「もうひとつ重要なことは、昨年は素晴らしいチャンピオンシップになったということを考慮しなければならない。多くのアクションがあり、あらゆる戦略があった。1ストップ、2ストップが混在しており、まさに観客が見たいと思うものだった。その状況を変えたくはない」


「つまりブランケットなしで機能し、現在のタイヤと同じ特性を持つタイヤを供給したいということだ。これは難易度がさらに上がる」


 ピレリは、今年夏のイギリスGPの後にふたたびテストを実施する。その後にはF1、各チーム、FIAが、2024年のタイヤブランケットの運命を左右する投票を実施する予定だ。

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
2023年F1バーレーンテスト2日目 ピレリのC3タイヤ(ミディアムタイヤ)を装着してコースに向かうフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
DAZNアフィリ用画像リンク



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(autosport web)


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