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【F1第5戦無線レビュー(2)】SC中のポジションダウンを懸念したハミルトン「ジョージの後ろに順位を落としたくない」

2022年5月20日

 2022年F1第5戦スペインGPは、上位ではマックス・フェルスタッペンが首位の座を守り続け、シャルル・ルクレールが追いかける展開となっていた。レース後半にはピエール・ガスリーとランド・ノリスの接触によりセーフティカーが出動し、タイヤ無交換のまま走り続けるジョージ・ラッセルが大きくポジションを上げることに成功。マイアミGPのレース後半を無線とともに振り返る。


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 レース中盤に上位勢がタイヤ交換を終えた時点で、首位は依然としてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。ハードタイヤに履き替えたシャルル・ルクレール(フェラーリ)が最速タイムを更新して必死に追うが、その差はなかなか縮まらない。


 3、4番手にカルロス・サインツ(フェラーリ)、セルジオ・ペレス(レッドブル)。そしてここまで無交換で走り続けているジョージ・ラッセル(メルセデス)が、12番手から5番手まで順位を上げた。一方、22周目にピットインして、去年までのチームメイト、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)の背後7番手を走るルイス・ハミルトン(メルセデス)は、早くも29周目前後にタイヤに問題が出始めた。


ハミルトン:タイヤがすでにオーバーヒートしている
ピーター・ボニントン:ジョージはそんなにオーバーヒートしていない。(作動ウィンドウから)外れているはずはない


 31周目に13番手まで上がったミック・シューマッハー(ハース)が、さらに上位へのチャンスを窺う。しかしすぐ前のケビン・マグヌッセン(ハース)が、いっこうに譲ってくれない。


ギャリー・ギャノン:ストロールまで行くぞ
シューマッハー:ケビンがブロックしていて、無理だよ


 マグヌッセンにはチームから「後ろのミックに譲るんだ」と繰り返し指示が出るが、後退する気配はない。34周目のターン17でようやく順位が入れ替わったが、譲ったのか、ミスなのか、微妙な感じだった。

ミック・シューマッハー&ケビン・マグヌッセン(ハース)
2022年F1第5戦マイアミGP ミック・シューマッハー&ケビン・マグヌッセン(ハース)


 35周目、ターン8でブレーキをロックさせた隙にランド・ノリス(マクラーレン)にかわされ、15番手に後退したセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)に無線が入った。


クリス・クローニン(→ベッテル):少し雨が来るかも。8分後くらいだ


 ラッセルは依然としてスタート時のハードタイヤで、5番手を快走している。そろそろピットに向かうタイミングだが、できるだけ順位を落としたくないところだ。


ラッセル:このまま走り続けて、VSCかSCを待つ方がいいんじゃない?
リカルド・ムスコーニ:同感だ


 すると39周目、9番手争いを繰り広げていたピエール・ガスリー(アルファタウリ)とフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がターン1で接触した。ガスリーはダメージを負ったのか、順位を落としていく。しかしVSCやSCが出るほどの事故ではなかった。


アロンソ:最後の最後にドアを閉めやがった

2022年F1第5戦マイアミGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ)とフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
2022年F1第5戦マイアミGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ)とフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)


 ラッセルは39周走ったタイヤで、自己ベストを更新と絶好調だ。そして40周目、今度はガスリーとノリスが接触。ノリスは右リヤにダメージを負い、コース上に止まった。


ノリス:タイヤかすだ
ジョゼフ:ああ。わかった
ノリス:申し訳ない。一体、何が起きたんだろう


 一方ガスリーは接触の直前、「クルマが全然曲がらない」と訴えていた。


 まずVSC、続いてSCが導入され、ラッセルはすかさずピットイン。7番手でコース復帰を果たした。ペレスも続いてピットイン。かろうじて4番手のまま、コースに戻ることができた。


ヒュー・バード(→ペレス):マックスとフェラーリ2台はステイアウトだ。しかもフェラーリは古いハードだ。まだチャンスはあるぞ


 一方、ラッセルの前、6番手を走るハミルトンは、担当エンジニアのボニントンと少し険悪な雰囲気だった。


ボニントン:きみがそうしたいのなら、もう1回ピットインできるチャンスはある
ハミルトン:そっちで決めてよ。でも順位を失うよね
ボニントン:ああ。そういうことになる
ハミルトン:とにかくジョージの後ろに、順位は落としたくない
ボニントン:じゃあ、ステイアウトだ

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2022年F1第5戦マイアミGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 テクニカルディレクターのジェームズ・アリソンも無線に入ってきた。


アリソン:ルイス、ジェームズだ。このままステイアウトがいいと思う。最後はきみの判断に任せるけど、すぐに決める必要がある
ボニントン:ジョージはミディアムだった
ハミルトン:僕にアドバンテージはないということだね


ハミルトン:(ラッセルのミディアムは)どれぐらい速いの?
ボニントン:コンマ3、4秒かな。持ちもいいようだ


 ハミルトンはシーズンが進むにつれて、いっそうラッセルを意識するようになってきた印象だ。


 47周目、レース再開。ラッセルがハミルトンとバトルを繰り広げ、最終的に抜き切って5番手でチェッカーを受けた。


 フェルスタッペンはイモラに続く2連勝。初日FP2をトラブルでほとんど走れず、ポールポジションもルクレールに奪われた状況を、見事に巻き返しての逆転勝利だった。


ランビアーゼ:優勝だ、マックス。素晴らしいリカバリーだった
フェルスタッペン:しんどかったけど、最高のレースだったよ
クリスチャン・ホーナー代表:やったね、マックス
フェルスタッペン:みんなのおかげだ。この週末は、本当によく巻き返せた。誇りに思うよ


 ラッセルは12番グリッドからの5位入賞。しかも6番手スタートのハミルトンを最後にかわしただけに、かなりの達成感のはずだ。


ムスコーニ:P5だ。素晴らしいリカバリーだった
ラッセル:いや〜、よくやれたよ。昨日は申し訳なかったけど、今日はポイントを獲れた



(取材・まとめ 柴田久仁夫)


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ドライバーズランキング

※ラスベガスGP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン403
2位ランド・ノリス340
3位シャルル・ルクレール319
4位オスカー・ピアストリ268
5位カルロス・サインツ259
6位ジョージ・ラッセル217
7位ルイス・ハミルトン208
8位セルジオ・ペレス152
9位フェルナンド・アロンソ63
10位ニコ・ヒュルケンベルグ35

チームランキング

※ラスベガスGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム608
2位スクーデリア・フェラーリ584
3位オラクル・レッドブル・レーシング555
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム425
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム86
6位マネーグラム・ハースF1チーム50
7位BWTアルピーヌF1チーム49
8位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム46
9位ウイリアムズ・レーシング17
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー0

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