ジャガー・レーシングへの移籍が囁かれ続けていたアレクサンダー・ブルツが、来季もマクラーレンに残留すると発表した。
ブルツは、2004年もデイビッド・クルサード、キミ・ライコネン、ペドロ・デ・ラ・ロサらと共にマクラーレンに残り、テストドライバーを続けることを明らかにした。ブルツはバルセロナでトラックデビューを飾ったMP4−19の開発を楽しみにしている。
「来季もウエスト・マクラーレン・メルセデスチームにサードドライバーとして残ることになったことを喜んで発表する」とブルツ。「ジャガー・レーシングのセカンドドライバー候補として名前が挙がっていたことは確かである。とても名誉なことだった。しかし、マクラーレン・メルセデスの2004年用テストプログラムが始まったいま、シーズンの準備に集中するためにも来季についてそろそろ決める必要があると思った。ウエスト・マクラーレン・メルセデスは誠実でやりがいのあるチームだ。彼らなら僕に最高の未来を与えてくれると思っている」
ブルツは2003年半ばに解雇されたアントニオ・ピッツォニアの後釜としてジャガー入りは間違いなしと言われながら、結局この話はご破算に。ブルツに代わって、ジャスティン・ウイルソンがマーク・ウエーバーとコンビを組むことになるが、ブルツはその後も2004年の有力なドライバー候補として見られてきた。
ブルツは冬期テストを前にして、来シーズンのジャガーの最有力ドライバー候補として見られてきた。また、オーストリアのスポーツ飲料メーカー、レッドブルがチームとスポンサー契約を交わすのではというウワサも流れていた。
そのブルツが今回マクラーレン残留を決めた背景だが、レッドブルが先日ジャガーのテストに参加したF3ドライバー、クリスチャン・クリエンをブルツ以上に推しているという事実もさるものながら、ブルツの個人スポンサーであるスーパーファンドとジャガーのスポンサー、HSBC社との間で衝突が起こったためだと考えられる。とはいえ、真相は今のところ、すべて闇の中だ。
マクラーレン・レーシングMDのマーチン・ウィットマーシュは次のように語っている。「過去3年に渡るアレックスの貢献はとても大きく、チームのだれもが彼の残留を喜んでいる。アレックスにレース復帰のチャンスがあったことは知っている。彼がどんな決断を下そうとも、彼をサポートしていくつもりだったが、チーム残留となって力強く思っている。チームは2004年のタイトルを目指して益々勢いづくだろう」
ブルツがマクラーレン残留を決めたことで、来シーズン、ウエーバーとコンビを組むジャガーのドライバーについて再び様々な憶測が飛び交うことは必至だ。先週はクリエンとタウンゼント・ベルがジャガーのテストに参加した。現ドライバーのウイルソンは木曜日、1日だけテストに参加し、ファステストタイムをマークして、来季のフルシーズン契約をアピールした。
ジャガーは、このテストによってセカンドドライバー候補を絞ってはおらず、今後もF1マシンの経験をさせるという見地から他のドライバーをテストに参加させるつもりでいると述べている。