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F1第22戦木曜会見:硬い表情を見せたフェルスタッペン「自分のベストを尽くして、勝ってレースを終えたい」
2021年12月11日
ルイス・ハミルトン(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のタイトル争いばかりが注目されがちだが、中団の戦いも熾烈だ。たとえばドライバーズ選手権暫定5位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)とランド・ノリス(マクラーレン)の差は、わずか4ポイントだ。ただし勢い的には、ルクレールが優勢だ。秋のロシアGP終了時点ではまだ絶好調だったノリスは選手権4位に君臨し、7位のルクレールに35点もの大差を付けていた。ところがそこからの終盤6戦で、あっという間に逆転してしまったのだった。
しかし木曜会見に並んで出席したふたりに、「もう勝負はついたのでは」と司会者が問いかけると、ルクレールは「とんでもない」と、きっぱり否定した。「たった4ポイントだよ。残り1戦では、すべてが起こり得るからね」。
「ランド、きみはどう思う?」。そう振られたノリスは少しの間考えて、「ブレーキテストでもやってみようかな」と、答えた。「10秒ペナルティだけだったら、試してみる価値はある」
これはもちろん、前戦サウジアラビアGPでフェルスタッペンが急減速してハミルトンが追突、マシンがダメージを負った一件を指す。だとしてもかなり微妙というか、際どいジョークだ。天真爛漫さがみんなに好かれているノリスだからこそ、口にできる冗談というべきだろう。それにしてもシーズン後半のマクラーレンの失速は、いったいどういうことなのか。ノリス自身も、そこが一番気になっているはずだ。
そして会見最後には、ノリスがネタにしたフェルスタッペンとハミルトンが登場した。サウジ以降はお互いを非難したり、FIA裁定にあからさまに不満を述べたりしていただけに、さぞ緊張感の漂うセッションになるのではと思われた。ところが当事者ふたりは、意外にリラックスした雰囲気だった。
「ふたりの今までのレースキャリアでも、最も重要な週末なのでは」という問いに対しても、ハミルトンは自分を支えてくれたチームスタッフへの感謝を述べ、フェルスタッペンは「F1全体の見地からはそうかもしれない。でも僕自身は、この状況をすごく楽しんでいるよ」と、時に笑顔を浮かべながら語っていた。
──サウジアラビアGPのあとここに来るまで、どんな時間を過ごしたのですか?
フェルスタッペン:ドバイでおいしい食事を友人たちと楽しんだり、ガールフレンドの誕生日を祝ったりした。F1はもちろん大事なことだけど、それと同じくらい大事なことが人生には他にもあるということさ。
そしてハミルトンも、同じドバイに滞在していた。
ハミルトン:トレーニングしたりして、レースの疲れからのリカバリーに専念していたよ。それから市内の施設で、人工的なスカイダイブも体験した。
と、ここまでは比較的和やかに進んだ会見だったが、ジャーナリストたちの個別質問で空気はがらりと変わる。メディアにしてみれば、今季ここまで何度も接触を繰り返してきたふたりなだけに、それについての思いはぜひ訊いてみたいところだ。
──もしタイトルが接触事故という形で決着してしまったら、という危惧はありますか。
フェルスタッペン:ドライバーは普通、そういうことは考えない。メディアがそういうことを言い出してるのは承知しているけど、僕がこの週末考えるのは自分のベストを尽くして、できれば勝ってレースを終えたい。それだけだ。
ハミルトン:付け加えることはほとんどないけど、自分がコントロールできないことは考えても仕方がない。自分にできることは、ベストを尽くすことだけだ。チームも僕も、勝つことだけを考えている。それ以外のエネルギーは使わないよ。
FIAは今回、「コース上で不適切な行為があった場合は、ポイント剥奪を含む厳しい処置を行う」旨の警告を行った。それ自体はスポーツ規約に明記されている事項だが、あえて周知させた形だ。
──FIAのこの警告を、どう思いますか。
ハミルトン:今までにも起きてきたけど、スチュワード側は事前に予防措置は講じてなかったと思う。だからこういうことはフェアだし、そんな措置が実行されないことを望むだけだよ。僕らは素晴らしいレースをして、前進するだけだから。自分の仕事をするためにここに来ているし、スチュワードにはこういうことで会いたくない。彼らもそう思ってるだろうし(笑)。
フェルスタッペン:スポーツ規約のその事項はもちろん承知しているし、今週末改めて周知する必要はないと思うよ。
ときおり笑顔を見せてリラックスした感じのハミルトンに対して、フェルスタッペンは終始硬い表情だった。今回の通達は自分を標的にしているという思いからか。
いずれにしても自分のベストを尽くすだけ、というふたりの思いに偽りはないに違いない。しかし最終レースも熱い戦いになることだけはまちがいないだろう。
(取材・まとめ 柴田久仁夫)
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1位 | オスカー・ピアストリ | 131 |
2位 | ランド・ノリス | 115 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 99 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 93 |
5位 | シャルル・ルクレール | 53 |
6位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 48 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 41 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 30 |
9位 | エステバン・オコン | 14 |
10位 | ランス・ストロール | 14 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 246 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 141 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 105 |
4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 94 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 37 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 20 |
7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 14 |
8位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 8 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 7 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 6 |

