アメリカGPで優勝を果たしたミハエル・シューマッハーは、あと1ポイント獲得すれば6度目のチャンピオンが決まるが、フェラーリチームの面々はあらゆる楽観的な見方を否定している。
ジャン・トッドもロス・ブラウンも、1986年のアデレイドでのナイジェル・マンセルを例に出し、鈴鹿でミハエルが8位以内の成績を獲得するまでは何が起こるか分からないと見ている。
ブラウンは英デイリー・テレグラフ紙のインタビューに答えて次のように述べた。「みんな覚えているように、1986年のナイジェルの例があるからね。色々なことが起こり得る。(鈴鹿で)1ポイント獲らなきゃならないというのは、(レースで)優勝しなきゃならないという状況以上に実際にはタフなんだ」
「まだ優勝したわけではないが、鈴鹿までの2週間はとてもハードな作業を行っていく。しかし、タイトルを獲ることが使命というのもずいぶん辛いね。ここまできて最終戦でタイトルが獲れなかったら、まさに悲劇だ」
ミハエルがタイトルを獲得すれば6度目のチャンピオンとなるが、今年は色々と予期せぬことが起こっているだけに、最終戦で大波乱が待ち受けていないとも限らない。
トッドとブラウンは、最終戦の戦い方について異なる考えを持っている。テクニカル・ディレクターであるブラウンは、「ごく普通の」アプローチでミハエルに1列目のグリッドを獲得させ、優勝とタイトルを狙わせたいと考える。一方、トッドは、ミハエルには堅実にポイント圏内でフィニッシュしてもらい、ルーベンス・バリチェロが優勝することで、コンストラクターズ選手権のタイトルを手中に収めようと考えている。
トッドは次のように語る。「ミハエルはあと1ポイントでいいけれど、フェラーリは15ポイント必要だ。数字上はまだ可能性がある。あと1レース残ってるからね」
「2つの選手権はどちらも大切だ。ドライバーズ選手権を制したいのなら、1列目のグリッドを獲得する必要がある。何とか1列目を確保できる努力をするつもりだが、他のチームも私たちの前に出ようと頑張るだろうね。いずれにせよ、私たちは当日、戦略的なアプローチを用いず、ベストを尽くすことだけを考えていくつもりだ」
「ドライバーズ選手権において、ミハエルはいいポジションにいることは確かだ。しかし、コンストラクターズ選手権において、私たちは3ポイントしかリードしていない。3ポイントのリードでは不十分だということはよく分かっている。これだけのリードではリラックスした気分で日本戦を戦うことはできないが、とにかく、レースで優勝できるよう頑張りたい」