ホンダF1田辺TDレース後会見:先頭スタートの優位を活かし29年ぶりのモナコ優勝「すべてを味方につけた」
2021年5月24日
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がモナコGP初優勝を遂げた。ホンダにとっては1992年のアイルトン・セナ(マクラーレン・ホンダ)以来の勝利であり、2021年末でF1活動を終了するため最後の勝利でもある。「最後のモナコを勝てたことが本当に嬉しい」と、ホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターは率直に喜びを表明した。
ポールシッターのシャルル・ルクレール(フェラーリ)が直前で出走できず、フェルスタッペンに迫っていたバルテリ・ボッタス(メルセデス)がまさかのリタイアに追い込まれるなど、幸運にも恵まれた。しかし田辺テクニカルディレクターは、「それらの不運が、我々に襲いかかってきたかもしれなかった。今回はすべてを味方につけて、いい形で回ったレースだった」と総括した。
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──マックス・フェルスタッペンがモナコ初優勝を果たしました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):ポールシッターのルクレールが直前になって出走できないことになりました。結果的に先頭でのスタートになり、その優位を活かしてスタートで2番手以下を抑えてくれました。そこがまず、いちばんの勝利の要因ですね。
モナコは戦略的にもほぼ1ストップしかないわけですが、レース中もしっかりタイヤを持たせてリードを築きました。ホンダとしては、最後のモナコを勝てたことを本当にうれしく思っています。
──セルジオ・ペレスも4位まで挽回しました。
田辺TD:予選9番手だったわけですが、周回のペースが非常に良く、それでも追い抜けないのがモナコなのですが、戦略とペレスの安定した走りでギャップを築いて、ピットインで順位を大きくあげることができました。終盤は3番手のランド・ノリス(マクラーレン)を追い回し、最後まで力強い走りでした。
──アルファタウリの2台はどうでしたか?
田辺TD:ピエール・ガスリーは6番グリッドから6位入賞。ペースは良かったのですが順位を上げられませんでした。角田裕毅はスタートで順位を落とし、遅いクルマに前に入られてしまいました。
今週末のアルファタウリは戦闘力があったのですが、予選、レースを含めて、それを十分に活かすことができませんでした。レースは特に我慢の走りだったと思います。残念ながら4台入賞とはいきませんでしたが、1台は優勝できました。いい形で終えられたモナコGPだったと思います。
──選手権首位に立ったことへの思いはいかがでしょう?
田辺TD:初めての選手権トップですが、まだ5戦が終わったばかりです。この先、いかにこの位置をキープしていくか、簡単ではないと覚悟しています。
──1992年の勝利とは、また違った感慨がありますか?
田辺TD:当時はマクラーレン・ホンダの強さに影が射していた時期で、初戦から劣勢を強いられていたなかで優勝できました。ニュータイヤで迫るナイジェル・マンセル(ウイリアムズ・ルノー)を、セナが抜かせなかった。
そんなセナの巧さと、陰りが見えていた状況での勝利ということで非常に気が晴れ、前向きになれた1勝でしたね。今回も序盤4戦で1勝しかできなかったなかで再び勝てました。いっそう頑張ろうという気にさせてくれました。
■燃料搭載量はセーフティカーの導入を想定
──『モナコの勝利は3勝分の価値がある』とよく言われますが、今日の勝利は何勝分でしたか?
田辺TD:そう言うのでしたら、3勝ですかね(笑)。選手権を戦ううえでは1勝であることは変わりません。いろんな意味での価値はあるのかもしれませんが、あくまで1勝です。
──シャルル・ルクレール(フェラーリ)の不参戦やバルテリ・ボッタス(メルセデス)のリタイアなど、幸運にも恵まれましたか?
田辺TD:それは確かにありますが、そういうことがなかったとしても同じ結果を出せていたかもしれない。逆にそれらの不運が、我々に襲いかかってきたかもしれなかったわけです。今回はすべてを味方につけて、いい形で回ったレースだったなと思います。
──外から見ると盤石のレースに見えましたが、実際に戦ってる側も、前戦のスペインGPのような緊迫した感じではなかったのでしょうか?
田辺TD:たとえばタイヤのタレ、エンジンの冷却、マシンの挙動、あらゆることが想定内でした。もちろん裏では、あれが起きたらどうするという話し合いもしていましたが、順調なレースでした。
──レース終盤にセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)を追っていたペレスに、「追いかけられるだけの燃料を残しておけ」という無線が入りました。モナコGPにしてはハイペースでしたし、セーフティカーが入らなかったこともあり、燃費はキツかったのでしょうか?
田辺TD:セーフティカー導入を想定した燃料搭載量で走行したわけですが、燃料消費を抑えるためにペースを落とすような走りもことさらできなかったので、それなりのキツさはありましたね。
──今季から投入した新世代パワーユニットのパフォーマンスと信頼性について、序盤5戦を終えての総括をお願いします。
田辺TD:今年は全23戦を3基のパワーユニット、2基のERS(エネルギー回生システム)で戦うわけですが、今のところは基本的に順調に進んでいます。モナコGP後もダメージやコンディションを確認し、次戦以降のレースへの割り振りを考えていきます。
──次戦のアゼルバイジャンGPも市街地レースですが、コース特性はまったく変わります。展望はいかがでしょうか。
田辺TD:低速区間については今回の経験が活きると思います。一方でストレートが非常に長い。低速と超高速の両方を持つという飛び抜けた特徴がある市街地コースですので、両者のバランスをしっかりと設定して臨みたいと思っています。
(取材・まとめ 柴田久仁夫)
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予選 | 結果 / レポート | |
11/24(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
1位 | マックス・フェルスタッペン | 403 |
2位 | ランド・ノリス | 340 |
3位 | シャルル・ルクレール | 319 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 268 |
5位 | カルロス・サインツ | 259 |
6位 | ジョージ・ラッセル | 217 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 208 |
8位 | セルジオ・ペレス | 152 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 63 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 35 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 608 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 584 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 555 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 425 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 50 |
7位 | BWTアルピーヌF1チーム | 49 |
8位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 46 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
第23戦 | カタールGP | 12/1 |