僅差の戦いとなったモンツァでのグランプリを終えて、次戦アメリカＧＰは２００３年ＦＩＡフォーミュラワン世界選手権の行方を決める重要な“カギ”を握っている。
先週末のイタリアＧＰでは２位に甘んじたファン‐パブロ・モントーヤだが、現在の選手権リーダーであるミハエル・シューマッハーとの差はわずか３ポイントでしかなく、逆転のチャンスはまだ十分に残されている。２０００年インディ５００のウイナーでもあるモントーヤは、２００１年、２００２年にインディアナポリスのＦ１サーキットを走った経験があり、昨年は４位でフィニッシュしたこともあって、このイベントが大のお気に入りだという。
「ブリックヤードにはいくつかのすばらしい思い出がある」とモントーヤ。「まず第一に、２０００年のインディ５００での勝利は、僕のキャリアにおいてとても重要なものだった。当時僕が所属していたチームは、インディアナポリスに本拠を置いていたしね。サーキットの雰囲気も最高だよ。オーバルの部分を囲むグランドスタンドはいつも観客でいっぱいなんだ。僕はインディを自分のホームレースだと考えているから、サポーターのみんなにいいレースを見せなくちゃいけないと思っている。大勢のコロンビア人が僕の応援に来てくれるとうれしいね」
「僕らの車は間違いなくこのスピードウエイに合っている。長いストレートでＢＭＷエンジンのパワーを生かせるからね。直接のライバル（フェラーリ）とも接近戦になるだろう。現時点で集中すべき大きな目標が２つある。まずチームとしてコンストラクターズ選手権タイトルを確保すること。そして、僕はドライバーズ選手権でミハエルの差を縮めて、できればその差を逆転することだ。僕らとしては、このレースでできるだけ多くのポイントを稼いでおく必要がある。というのも、鈴鹿はミハエルのドライビングスタイルにぴったり合ったサーキットだからさ」
一方、テストでのハイスピードクラッシュの影響でイタリアＧＰの欠場を余儀なくされたラルフ・シューマッハーは、今週末のコックピットへの復帰を首を長くして待ち続けている。インディでのレースまでには、体調は１００％回復しているはずだ。
「モンツァのレースは欠場しなければならなかったが、アメリカＧＰに向けて体調は完全に回復するという自信がある。そのために必要なことはすべてやっているしね」とラルフ。「インディはアメリカのモーターレーシングの故郷だから、そこでレースをするというのは本当に特別なことなんだ。このコースも好きだよ。リズムがあるし、とても高速で長いストレートではオーバーテイクのチャンスもある。ちょうどパラボリカの進入みたいにね」
「でも、インディは技術的な面ではとても難しいコースだ。長いストレートでは２０秒以上も全開で走り続ける。ここではとにかくパワーが必要だけど、幸いなことに僕らはＢＭＷエンジンのおかげでパワーに不足はない。その一方で、インフィールドセクションのいくつかのコーナーでは、最大のダウンフォースが必要になる。だからそれを両立させるセットアップを見つけるのは難しいんだ。僕の場合、去年はあまりいいレースではなかった。今年は両選手権が僅差の争いになっているから、誰もがこのレースを大事にしたいと考えているだろうね」
アメリカＧＰプレビュー：ＢＭＷウイリアムズ
