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角田裕毅が開幕戦に向け会見、早速ガスリーから学んだ「風の使い方」と「タイヤマネジメント」

2021年3月18日

 3月17日、2021年のF1世界選手権に参戦する角田裕毅がレッドブルジャパン主催のオンライン会見に出席し、その注目の高さから多数の日本メディアが参加するなか、3月12〜14日に開催されたプレシーズンテストを改めて振り返ると同時に、バーレーンでのF1開幕戦、そして今シーズンの目標などを語った。


 2021年、実に7年ぶりとなる日本人ドライバーとしてアルファタウリ・ホンダからF1にレギュラー参戦する角田は、4歳のときからカートを始め、2018年にレッドブルの育成プログラム“レッドブル・ジュニアチーム”に加入すると、翌年FIA-F3に参戦、2020年にはFIA-F2にステップアップし3度の優勝を挙げ、ドライバーズランキング3位に輝いている。


 F2での結果から、F1に必要なスーパーライセンスポイントをクリアした角田は、いよいよ今シーズン待望のF1デビューを果たす。今年のF1は、3月26日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催される第1戦バーレーンGPで幕を上げるが、3月12〜14日には開幕に先立ち同地でプレシーズンテストが行われた。


 そんなプレシーズンテストで角田は最終日にマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に次ぐ総合2番手タイムを記録し、世界中の注目を集めた。トップタイムをマークした時の角田のタイヤは一番軟らかいC5、フェルスタッペンのタイヤはそれよりも一段階硬めのC4ということで単純には比較できないが、テスト最終日の結果に「トップ3に入れたことは素直に嬉しいです」と角田は語った。


「でも、やはりテストなので、どのチームがどの燃料の重さで走っていたかなど、チームごとのテストメニューも違うので、一概に調子が良いかはわかりません。ただ自分としては、徐々にタイムを上げていくことができて、とにかく自分の走りに集中できたので、そこでトップ3に入れたということは素直に自信にもつながりました」


 そしてプレシーズンテストの3日間を改めて振り返った角田は、テスト1日目と2日目ではマシンに問題が出たものの、3日目は大きなトラブルはなかったようで予選、レースシミュレーションが行えたという。だが、そのなかで見えた課題もあるようだ。


「テストでは3日間走り、1日目は燃料タンク系の問題が出てしまい、2日目はほぼ毎周問題が出ていたのであまりタイムが残せませんでした。ですが、3日目は何も問題なくスムーズな1日となり、予選とレースシミュレーションを行うことができました」


「そのなかで見えてきた課題は、特にバーレーンというサーキットの特徴でもある、非常に強い風です。風というのはマシンにすごく影響を与えるので、クルマの動きが本当に変わってきます」


「たとえばコーナーによって、進入から中間までは向かい風だけど、中間から出口までは追い風というとき、進入から中間までは向かい風を利用して速く走れるのですが、中間から出口にかけては追い風で(ダウンフォースが抜けて)滑りやすくなるので、アクセルワークに気をつけなければいけません。そういったところが課題だと思いました」


 そんな角田の今シーズン最大のライバルとなるのが、日本の全日本スーパーフォーミュラ選手権でも活躍し、昨年の第8戦イタリアGPではF1初優勝を挙げたチームメイトのピエール・ガスリーだ。ただふたりの関係は上手くいっているようで、バーレーンでのテストではガスリーの走りから勉強したことも多いと角田は語る。


「ガスリーには、特に風の使い方を学びました。向かい風だったらそれを利用してコーナー進入でタイムを稼いだり、その時々のコンディションに応じて走り方を変える、ということをすごく学べたかなと思います。あとはタイヤマネジメントです。レースシミュレーションでは出口の縁石にあまり乗らないようにするのですが、乗っていい縁石や乗ってはいけない縁石があるので、そこはガスリーのオンボードを見て勉強しました」

イギリスのミルトンキーンズからオンライン会見に出席した角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
イギリスのミルトンキーンズからオンライン会見に出席した角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

F1プレシーズンテストでの角田裕毅とピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
F1プレシーズンテストでの角田裕毅とピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

■開幕戦は「今持っているパフォーマンスを出し切って最初からプッシュ」

 次にレースでの自分の強みを聞かれた角田は、考えることもなく「自分の長所はブレーキングとオーバーテイクだと思います」とはっきりした口調で話した。テストでは一度だけオーバーテイクをしたという角田だが、それはレースシミュレーション中の出来事だったため、これまでとはまったく違う経験ができたようだ。


「ブレーキングはF1でも重要ですし、コーナーに入るときもすべてはブレーキングから始まります。あとはオーバーテイクで、僕は(テストで)一回だけジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)をオーバーテイクしました。レースシミュレーション中だったので、普段とはDRSの効き方もまるで違い、ブレーキングの止まり方もまったく違ったのですが、無事にコーナー進入でオーバーテイクすることができました」


 プレシーズンテストでは多くのことを学び、自信も掴んだ角田だが、このシーズンオフはどのように過ごしていたのだろうか。もちろんF1マシンのGに耐えるため首と体幹を鍛えるトレーニングも続けているということだが、意外にも普段については20歳の若者らしい姿を見せた。


「現在はイギリスのミルトンキーンズに住んでいるのですが、ロックダウンで外で行うスポーツもできないので、普段は日本の友達とFPSゲームの『Apex Legends』をプレイしています。結構、僕は熱くなりやすくて、レース中の無線でも叫んでしまうのですが、そういったところがゲームにも出ていて、相手に負けたときに叫んでしまいますね(笑)」


「でも、感情というのは普段の生活にも出ると思うので、ゲームでも自分をコントロールできるように、トレーニングとまではいかないですが、そういう熱い性格をコントロールするようにしています。また、そういうときでしか日本語での会話ができないので、普段はリラックスして楽しんでいます」


 そんな現代っ子的な過ごし方も語った角田だが、再び話題がF1に戻ると表情を戻して開幕戦、そしてシーズンを通しての目標を熱く語った。


「開幕戦の目標はないです。ただポイントを獲得できるように頑張るだけです。今までF1の経験がないので想像ができません。なので、僕が今持っているパフォーマンスのすべてを出し切って最初からプッシュします。そのなかで表彰台や、もちろん優勝もしたいですが、現段階では何が起こるかわからない。あまりミスも恐れず、ガンガン攻めていければなと思います。そこでミスをしたりするときもあるかもしれませんが、そういったところから今の自分の弱点などが分かると思います。ミスや経験から、後半はアジャストしてまとめ上げられたらなと思います」


 そして、今シーズンからF1に参戦する角田が一番楽しみにしているサーキットはもちろん「圧倒的に鈴鹿サーキット」と、ホンダドライバーとして優等生的な回答。


「僕がFIA-F4時代に走ったタイムとF1マシンではかなりタイムが違うので、そういったタイム差も楽しみにしています。なにより、日本のモータースポーツファンのみなさんの前で走ることが非常に楽しみです。好きなコーナーはデグナーとスプーンなので、そこは自信を持って走り抜けたいと思います」と、秋の凱旋帰国を楽しみしてる様子だった。


 オンライン会見は終始和やかな雰囲気で進められ、途中には笑顔も見せた角田。初のF1の舞台で20歳の日本人ドライバーがどんな活躍を見せてくれるのか、まずはバーレーンでの開幕戦、そしてこれからの活躍にも目が離せない。

オンライン会見中に笑顔を見せる角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
オンライン会見中に笑顔を見せる角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

2021年F1プレシーズンテスト 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

2021年F1プレシーズンテスト 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)



(autosport web)


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